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ブレーキのリリースをきっかけに曲がりはじめる!【ライドナレッジ147】

Photos:
藤原 らんか,shutterstock(Josep Suria)

腰で捻ったり腕でハンドルを倒さず確実に曲がれる!

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オートバイは車体を傾けることで曲がる。
でもハンドルにチカラを入れたりすると曲がりにくくなるので、リラックスしてリーンするように指導されてきた……
そこで上半身をイン側へズラしたり、腰で捻って車体を傾けているライダーが圧倒的に多い。

しかし上半身を横にズラすアクションは、アクションしている時間差で曲がりはじめるのが遅くなる。
また腰で捻る動作は、車体が一度曲がる方向とは反対のアウト側へ軌跡を大回りしてしまう。

それでも曲がれないワケではないので不都合ない、そのくらいに考えていても、ツーリングでカーブが連続するワインディングへ差し掛ると、たまに"曲がり切れないかも"と不安にかられるときがある。
これをすべて解決できるのが、カーブ手前で減速しながら、タイミングが遅れない確実に曲がれる、ブレーキのリリースをきっかけに利用するテクニックだ。

まず軽いブレーキで車体が起きるのを感じよう

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バイクは車体が傾いているときにフロントブレーキをかけると、起き上がろうとする反力が発生する。
まずはこの特性をイラストの要領で覚えてしまおう。

前後に交通のない、できれば広いクルマがいない駐車場などで試すのがお奨め。
バンク角といえるほど傾けなくてもほんの10°~20°の軽く傾けた状態からでも、ジワッとフロントブレーキをかけると誰でも感じられる難しくない操作だ。

ただ上半身や両腕にチカラが入っていると、意識せずとも押え込んでしまい、何も感じないという結果に陥りやすい。
ブレーキレバーの操作も、指先でジワッと軽く引く感じで、両腕や上半身がダラッと脱力したような状態であれば、スクッと車体が真っ直ぐになろうと起きてくるのがわかるはず。

これがわかったら、今度はこの特性を逆利用する操作を覚えよう。

ブレーキと同時に体幹移動しておけば、
リリースしたタイミングで曲がりはじめる

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次に今度は真っ直ぐ走った状態から、軽くフロントブレーキをかけながら、同時かやや遅れても良いのでほんの僅か体幹をイン側下を意識してズラしておく。
腰を捻ったり上半身を横へ動かすとすべてがうまくいかなくなるので、リーンウイズのまま外から見たら何もしていないような僅かな重心移動に留めておくのがコツ。

そしてブレーキの反力で車体が傾かず直進した状態から、ブレーキをリリース(解放)すると、起きようとする反力がキャンセルされ車体が自動的に軽く傾くというワケだ。
最初は曲がるというほど明確に反応しないだろうから、「くの字」に方向が変われば大成功!

この「くの字」に方向が変わるだけでも、慣れてくると曲がりはじめているのを感じるはず。
そしてこのきっかけを逃さず、イン側の脇腹など脱力してさらに重心を下げようとすれば、ほぼアクションなしに曲がれる旋回をはじめることができる。

バンク角で曲がらず、リリースで曲がるを繰り返す

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このブレーキングのリリースで曲がるメソッド最大のメリットは、ライダーが「ココ」から曲がりたいと思う地点で必ず遅れずに曲がりはじめることだ。
この正確さがわかってくると、そもそもの速度さえ出し過ぎなど無茶をしなければ、これまでのなりゆきでバイクまかせにしていたような状態から、自分曲がる地点を決めて操れる走りへと変えていくことができる。

これはイラストのようなカーブの連続するワインディングで、コーナーの奥でさらに曲がっていたり、何度か曲がりはじめる箇所をつくることで、曲がり切れずに慌てることなく操っていくことが可能になる。
慣れてくれば曲がりだしたらスロットルを捻って後輪をグリップさせる、トラクションの操作へと繋いでいく走りへとステップアップしていける。
一般公道ではバンク角に頼らず「ブレーキのリリースで曲がる」を駆使するのが、安全で楽しく走る秘訣だ。