honda_benly_cs90_20250325_main.jpg
このバイクに注目
HONDA
BENLY CS90
1964model

ホンダCS90は若者に本格スポーツバイク熱を呼び覚ました!【このバイクに注目】

Photos:
HONDA

小排気量にフレームからリヤフェンダーが別体化してスーパースポーツだけの前後18インチ!

honda_benly_cs90_20250325_01

1964年、ホンダは最もポピュラーだった90ccクラスに画期的なバイクをリリースした。
その名もCS90。当時はクラスでベンリィがアタマについていたが、125ccまでの主に実用車が主体だった時代だけに、ユーザーはCS90としか呼ばなかった。
そして何が画期的って、リヤフェンダーがプレスバックボーンのフレームから別体化し、前後に125ccや250ccのスーパースポーツと同じ18イン径のタイヤを履いていたのだ!

honda_benly_cs90_20250325_02
honda_benly_cs90_20250325_03
honda_benly_cs90_20250325_04
honda_benly_cs90_20250325_05

1960年代は、たとえば実用車のスーパーカブに対し、スポーツ系として燃料タンクを両足で鋏んで跨がるスポーツカブC110が少数だが生産されていたくらいで、スーパースポーツのCB72(250cc)のようにパイプフレームでリヤフェンダーが独立したフォルムではなかった。
折りしも1961年にホンダは125ccと250ccで世界GPのタイトルを獲得、DOHC4気筒のRC164や、勢いに乗って50ccクラスまで4ストロークで闘うホンダに傾倒する若者が激増していた。

honda_benly_cs90_20250325_06
honda_benly_cs90_20250325_07

そんな状況へTボーンと呼ぶ、プレス鋼板でもリヤフェンダーを一体化しないフレームとして、ホンダのGPマシンにとってアイデンティティでもあったシルバーの前後フェンダー、さらにはGPマシンやスーパースポーツが履いていた前後18インチ(小排気量車は通常17インチが標準)で車格も大きいときたら、目がハートになって当然だったのだ。
ホンダは小排気量クラスで唯一4ストロークエンジンで、スーパーカブがOHVからOHCへと刷新された形式のひとつ上の大きさ。
50mm×45.6mmで89cc、8PS/9,500rpmはパワー表示こそ2ストロークを下回るもののトップスピードが100km/hを超える4ストの強みを見せつけた。

honda_benly_cs90_20250325_08
honda_benly_cs90_20250325_09

この125ccと変わらない車格のため、フランスなどヨーロッパ、そしてもちろんカリフォルニアを中心にアメリカでもライダーたちを惹きつけた。
いわばGPマシンレプリカのルーツともいえるこの独創性に、日本のライバルメーカーは暫く追随できない距離を空けられてしまったのだ。
このTボーンフレームと、先端が細くなりデリケートな3次曲面を描く燃料タンクなど、ホンダのオリジナリティとセンスの高さにはいま見ても新鮮な驚きを感じる。