ギヤチェンジの「空振り」操作ミスは意外に多い
つま先が外を向いていたり、シフトペダルからつま先が離れた状態から操作するとチェンジミスを誘発しやすい
発進してローから2速はともかく、2速から3速、もしくは3速から4速へシフトアップしたとき、エンジンがワ~ンと空吹かしになって、ギヤがどこにも入っていない、つまり駆動できず加速してない状態に陥る経験をしたことがあるはず。
もしかして、トランスミッション(変速機)の故障? あまり頻繁に起きるとバイクの調子を疑いはじめたくなる。
しかしほとんどは、操作に慣れていないビギナーだったり、バイクを買い替えた不慣れから操作にムリがあるなど、扱いがラフな場合がほとんど。
とくにビギナーにとって、チェンジペダルをつま先で掻き上げる操作は、慣れるまで親指つけ根の皮膚が剥けたり意外な辛さで、できたらギヤチェンジしたくないところまで陥っても不思議ではない。
この辛さや痛さを経験すると、どうしてもつま先のシフトペダル操作が「逃げ」がちな角度になりやすいのもチェンジミスをする原因のひとつ。
そこでつま先が外を向いていないか、まずはそこからチェック。痛さを逃げて足首から斜めに操作すると、掻き上げた最後がペダルから遠くなり、この曖昧さがギヤを次へ送り込めない中途半端な結果となりやすいからだ。
実はギヤチェンジはワンストロークではない。エンジンが止まった状態で、手でチェンジペダルを操作してみるとわかるのだが、常時噛合式というバイクならではの構造のため、ギヤがホールド状態から抜けてどこにもシフトされていない瞬間を経て、次のギヤへホールドされるという、シフトの動きにはこの3段階がある。
エンジンが止まっていると、車体を前後に動かしながら操作しないとギヤが変わらないことがあるが、そこでも3段階は実感できるはず。つまりカッチリとホールドされるまで送り込むのが大切というワケだ。
バイクのミッションは常時噛合式。ギヤの歯車の側面にある凹凸にドッグという突起が出たり入ったりして変速。これが出たところで入ってない位置だとニュートラルと同じく駆動できない。コレが空振りの状態
シフトペダルを送りきれない中途半端なシフト操作だと、狭い中間位置になってしまいニュートラルと同じに
つま先でチカラを込めて掻き上げようとすると却って入らない。足首を動かして足の甲をまっすぐで操作
ミスをしないよう丁寧にゆっくりの操作は、駆動が途切れて不安定なだけではなくクラッチやミッションにも良くない。小さく素早く操作しつつ、操作方向に留意するのがコツ
クイックシフター(パワーシフト)でもシフトミスは頻発する!?
クイックシフター(パワーシフト)ではチェンジのリンクに感圧センサーがあり、ペダル操作を感知すると点火カットされ、その駆動が途切れた一瞬の間にホールドされていたミッションの凹凸が抜けやすくなり、次のギヤへシフトアップされる仕組み
スーパースポーツをはじめ、最新のハイエンドバイクにはクイックシフター、もしくはパワーシフトと呼ばれるクラッチを切らずにギヤチェンジできる機構が多く採用されている。
これはペダル操作を感知すると点火カットされ、その駆動が途切れた一瞬の間にホールドされていたミッションの凹凸が抜けやすくなり、次のギヤへシフトアップされるという仕組み。何とスロットルを捻ったまま、そのままペダル操作して良いという、いささか乱暴に思えるかも知れないが、ゆっくり操作するよりは機械的に負荷もリスクが小さくなることは覚えておこう。
だがこのクイックシフター(パワーシフト)も、シッカリ加速状態にしておかないと、シフトミスを起してしまうので要注意。あくまでも加速状態で、ミッションに一定の負荷がある前提でだからで、加速状態にないと3速とか4速のどこにもホールドしていない空振りになってしまうリスクがある。全力でなくても、少なくともドライブチェーンが引っ張られている加速状態が必須なのをくれぐれもお忘れなく!