カラーオーダープランにはじまり車体をツートンに塗り分けるまでに!

ホンダは1991年、250ccの4気筒カムギヤトレイン、CBR250FOURやCBR250RをベースとしたJADEを投入した。
JADEはホンダ伝統のスポーツバイクの称号であるCBが車名にない。
それはSUPER FOUR系のようなスーパースポーツ・ネイキッドを目指すのではなく、250ccユーザーの実態に合わせた「自然体スポーツ」をコンセプトとしていたからだ。
そして1996年、JADEが目指していた排気量概念を越えたスポーツバイクを、さらに一歩具体化したNewモデル、HORNET(スズメバチ、群れをなして襲いかかる恐怖の攻撃的サウンドも意味する)をリリースした。



実は最大の特徴が750cc以上、リッターバイクが装着するロープロワイドのラジアルタイヤと同サイズを装着したことだった。
フロント130/70ZR16、リヤ180/55ZR17。もちろん250ccでこのサイズは前例がない。
250ccがビッグバイクより下のクラスで、さらに400ccよりも下回るという、排気量がエライ順に並んでいるような概念を、まずタイヤサイズから打ち破ろうというのだ。
その走りも250cc4気筒で思われがちな、ピークの高回転域以外で非力なイメージを払拭するために思いきった手法がとられた。
ひとつはモノバックボーン・フレームという、スクエア断面の骨格を1本だけに絞った車体設計。
これによる軽量化で乾燥重量149kgと驚異的なスペックとなった。
またピボット部分を一体化せずアルミプレートと分離したことで、剛性バランスの自由度や軽量化も両得する新しい次元のシャシー構成が開発された。


そんな発想から次元の異なるHORNETだけに、当初はシンプルさを強調するカラーリングだったのが、個性をアピールするために2000年モデルでは燃料タンクやフロンとフェンダーにシートカウルなどセットで7色から選択できて、ホイールも4色から自分の好みでオーダーできるようにしたのだ。
それが高じてなのか、2005年モデルと2006年で燃料タンクとシートカウルをツートンで塗り分けるバージョンが登場した。




このホーネット構想は、600ccからビッグバイクの900ccにまで及び、スーパースポーツではない、しかしシンプルにスポーティな4気筒がアピールできるカテゴリーとして一定のファン層を掴んでいた。