kawasaki_z1-r_z1r-2_20250317_main.jpg
このバイクに注目
KAWASAKI
Z1-R / Z1R-II
1977~1980model

Z1-Rはデロリアンにインスパイアされた角Zデザインの原点!【このバイクに注目】

Photos:
KAWASAKI,Shutterstock(Wirestock Creators)

Z1000に斬新カフェデザインを狙った独自の直線基調!

kawasaki_z1-r_z1r-2_20250317_01

1972年にご存じ900ccのZ1、DOHC4気筒で大成功を収めたカワサキ
しかしライバルもパフォーマンスをアピールするスズキGS750/1000などの猛追がはじまり、1976年には対抗手段として排気量を1,000ccまで拡大していた。

kawasaki_z1-r_z1r-2_20250317_02
kawasaki_z1-r_z1r-2_20250317_03

そうした状況へのテコ入れとして検討されたのが、Z1以来のデザインイメージを刷新する案。パフォーマンスとスペシャルな個性を感じさせる方向性で、斬新なカフェレーサースタイルを模索しようということになった。
折りしもアメリカのGMから独立したDMC(デロリアン・モーター・カンパニー)というスーパーカーのメーカーが1976年10月に発表したプロトタイプが大きな話題を呼んでいた。
イタリアのジウジアーロがデザインした直線基調のフォルムは、ボディをステンレス鋼として塗装をせず、仕上げのサンドペーパーによるヘアラインを特徴として、ガルウイングのドア開閉と共に未来感が漂い、映画の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のタイムマシンだったことで広く知られている。
このデロリアンにインスパイアされたのが開発中だったZ1-R。
ビキニカウルから燃料タンクにサイドカバーやテールカウルまで、従来の丸みを帯びたフォルムから、尖った印象を与える直線基調へとガラリと変えたのだ。

kawasaki_z1-r_z1r-2_20250317_04
kawasaki_z1-r_z1r-2_20250317_05

果たしてこれまでモーターサイクルには少なかった直線基調のトーンは、Zシリーズのイメージチェンを意識させ新たに注目を浴びることとなった。
ボア×ストロークが70 mm × 66 mmの1,015cc、圧縮比8.7:1からZ1000を上回る90ps/8,000rpm、8.7kgm/7,000rpmのパフォーマンスは「最速!」を謳い文句に予想を超える成功を収めた。

kawasaki_z1-r_z1r-2_20250317_06
kawasaki_z1-r_z1r-2_20250317_07
kawasaki_z1-r_z1r-2_20250317_08

しかし前輪にスポーティなハンドリングを意識して19インチから18インチへと変更したことや、高速域でのウォブルなど車体がパワーに対応しきれないネガティブも露呈し、フレームのダウンチューブを二重鋼管として対策したZ1R-IIがリリースされることになった。
またデロリアンを意識したシルバー系一色だった車体色も、モノトーンは変わらずだったが黒や赤にピンストライプのバリエーッションが登場していた。

kawasaki_z1-r_z1r-2_20250317_09

剛性に優れたこのフレームは評価も高く、ビキニカウルを取り去ったZ1000MKIIが同じ仕様であるため価格も手頃で優れたハンドリングとしてヒット商品となったのだ。
Z1-Rでは容量の少なかった燃料タンクもツーリング用途を踏まえ容量を増やし、1000MKIIをはじめシャフトドライブのZ1000STも、このZ1R-IIをベースとしたデザインで統一されていたことも、「角ゼット」イメージの定着に繋がっていた。

kawasaki_z1-r_z1r-2_20250317_10

そしてご存じ、国内向け750cc版Z750FXでは、MKIIが商標として使えなかったこともあり、次期戦闘機を意味するFXがこのシリーズのネーミングとして与えられた。
Z1000MKIIと同じダウンチューブを二重鋼管としたフレームの安定性は抜群で、大型バイクのハンドリングのリファレンス・モデルと言われるまで高い信頼性を誇っていたのは広く知られている。

kawasaki_z1-r_z1r-2_20250317_11

その後もフューエルインジェクション化された1980年のKZ1000や、ベーシックなキャブレター仕様でパフォーマンスを高めたZ1000Jがアップハンドルのプロダクションレーサー、ローソンレプリカのベースモデルとなるなど、角Zは走り屋ライダーに好まれるバイクというイメージが定着していった。