A.ピークから60%程度の回転域を使いましょう!
いまどきの大排気量車の走らせ方として
低回転域からスロットルを大きめに開けることで
トラクションを使うとよく書いてあります。
しかし、私は昔の250ccの2ストローク
レーサーレプリカに乗っています。
このバイクだと低回転域のトルクがなく、
どうしてもパワーバンドを使ってしまいます。
こういうバイクではどう乗ればいいですか?
2スト250ccで効率よく「曲がれる」回転域
RIDE HIでは、近年のミドルクラスから大型スポーツバイクを前提としている記事が多いのは確かです。しかし、最近では250ccスポーツも新型が軒並み登場していますので、このクラスの走り方のコツのひとつとして触れておきましょう。
まず2ストローク250だと、さすがに3,000rpm程度では、曲がるためのトルクが後輪へ伝わることはありません。とはいえ、急激に伸びていくパワーバンドをいつも使うわけにはいきませんよね。
ところが、2スト250でもピークから60%ほどの回転域に、トラクションに良いトルク域があります。
9,500rpmがピークのエンジンであれば6,000rpmを下回るあたりです。旋回中にこの回転域で大きくスロットルを開けます。そして8,000rpm近くの一気に伸びはじめる手前の領域を使い、リーンしていても素早くシフトアップして、曲がれるトルク域をキープします。
コーナーによっては2度や3度のシフトアップを重ねたほうが、同じ旋回力と安定性を維持したまま出口まで曲がり続けられます。スロットルを中途半端に開けた状態ではトラクションは発揮できません。そこはビッグバイクと同じなのです。
2スト250レプリカの低回転域は貧弱
’80〜’90年代に全盛を誇っていたレーサーレプリカ。2スト250ccは、GPマシンのイメージが色濃く反映されていた。当時は、高出力化を重視した設計とされ、特に2スト・レプリカは低回転域のトルクが貧弱……。“パワーバンド”を使って走らせることが“正義”だった。写真のヤマハTZR250(1985〜)は、先行していたピーキーな2スト・レプリカに対し、中速域からの繋がりの良いエンジン特性やレーサー譲りの車体構成で高い人気を得た名機
4スト250ccに違いはある!?
また最近のツインエンジンを搭載している4スト250のバイクでも基本は同じです。
ピークパワーを与えても曲がれるトルク領域ではないので、後輪が強く路面を蹴っている醍醐味は感じられても旋回効率は高くありません。
ちょっと回転を下げた、気持ち的に加速力がいまいちだな、そんな回転域からスロットルを大きく開けて曲がれる回転域を維持しましょう。
これがレースとなれば、さすがにピーク域を常に維持したほうが速い、そう思いがちです。確かに一般公道よりはグリップが良いのでピーク域に近い回転域も有効です。しかし、ピークパワー域だとそれほど曲がらないのと、その回転幅が狭いというデメリットがあるのを忘れてはならないでしょう。
とにかく全閉で低い回転域まで待って、パーシャル(加速も減速もしないスロットルが一定の状態)を使わずに、そしてレスポンスが鈍くて迫力はないものの、早くから大きく開けてトルクが出てくるのを待つような乗り方に、ぜひ慣れてみてください。
ピークパワーの少し下の回転域で大きめに開ける
現在の4スト250ccスポーツバイク(写真はヤマハYZF-R25)は、フューエルインジェクション化など、エンジンマネージメントが劇的に進化し、低回転域から繋がりの良い、扱いやすい特性となっている。かつての2スト・レプリカに比べれば低回転域の実用性も向上している。ピークパワーを発揮しはじめる手前の低い回転域でスロットルを早く大きめに開け、トルクが立ち上がるのを待つ乗り方を試してみよう