A.身体のチカラを抜いた走り方を意識しましょう!
250ccでスポーツ走行を楽しむ方が増えてきました。軽量&スリムな車体は、ビッグバイクにはない走りの魅力があります。今回は250ccをさらに楽しむコツをお伝えしましょう。
カワサキからはこの時代に4気筒のNinja ZX-25Rが登場したりと、盛り上がっていますよね、250スポーツ。’80年代に250~400ccスポーツが火花を散らした時代のように、最新テクノロジーを思いきり注ぎ込んで欲しいと思ってるひとりとして、大歓迎です。いずれはビッグバイクの重さが、ひとりでは支え切れなくなる時期もくることを考えると、このクラスの将来は他人事ではない思いです。
さて、250ccクラスの走らせ方ですが、ビッグバイクのような後輪がグリップできないパワーがない面を、どうやって楽しむかがテーマになります。たとえばサーキットのように、曲率の大きな旋回時間が長いコーナーでないと、存分に醍醐味を楽しめなかったビッグバイクと違って、一般公道のワインディングで曲率の小さなコーナーで充分に醍醐味を楽しめるトコロがまず魅力でしょう。
回せるからといって、高回転を多用しない
趣味で楽しむライダーは、250ccとはいえミニバイクレースさながらにエンジンを回し切ったまま攻めていく小排気量独得の走り方をお望みではないですよネ。
そこで一般のワインディングで楽しむときのポイントとして、大切なのが車体を身体でねじ伏せるような、無駄なストレスをかけないという点を挙げておきます。軽量な車体は、ビッグバイクのように重量や質量で安定してくれません。ライダーの入力でどうにでもなってしまいます。しかし、こうした入力はタイヤのグリップを無駄に使います。それが旋回速度をドロップさせたり、必要以上に大回りを描くことに繋がります。
車体がいちばん無理なく旋回グリップを得るには、車体重量がタイヤに対し回転している角度と平行しているバランス、つまりまっすぐタイヤのトレッドへ荷重がかかっている状態が大切です。バンクしている間にうまくチカラが抜けていれば、車体がどんな状態でコーナリングしているかを感じられます。もちろんピターッと動かないような安定はしません。ある範囲でフラついたりするものですが、そこを抑えずコントロールする繊細な感覚が大事です。
またエンジンの回転域も、使い切れる感覚からつい高回転域を多用しがちですが、曲率の小さなコーナーになるほど、これは気づかないうちに車体同様に無駄なグリップをタイヤに課していることになります。大切なのはトルクが回転上昇に伴って増えていく領域を、素早いシフトアップでいかに繋いでいくか、になります。
高回転まで回る250ccだが、闇雲に回しても効率が落ちるだけ。ギクシャクしたり強いエンジンブレーキで思うように体重を預けられなくなりやすい
250ccならではのエンジンの鼓動やグリップ感を楽しもう!
排気量が小さいと、トラクションが感じにくいというライダーが多いのですが、これは回転出力の領域を使い過ぎているからで、ラフな操作は余裕たっぷりのつもりがいきなり裏切られてスリップダウンなどのリスクにも繋がるのを忘れないでください。
このように、常に繊細な感覚でバイクと対峙している乗り方が普段からできていれば、何もコーナーを攻めていなくてもエンジンや車体の鼓動やグリップ感を楽しみながら走れます。だからこそ、ちょっとしたタイミングで使うブレーキ操作とかに、ジンワリとした入力で車体の起き上がる反力を利用した無理のない切り返しが可能になるなど、奥の深い醍醐味を楽しむためには、身体のチカラを抜いた走り方を常に心がけていないと、せっかくある250ccクラスのポテンシャルを引き出せません。
ビッグバイクよりも細いタイヤが軽快なリーンを披露。難しさを感じさせない一面がある一方で丁寧な操作も求められる
- Words:
- 根本 健
- Photos:
- 高島秀吉