img_article_detail_01

リヤタイヤが突然滑ったらどうする?【教えてネモケン077】

oshiete-nemoken_077_main.jpg

A.滑る状況をつくらない走らせ方を身につけよう

それほどバンクしていたわけでもなく、
エンジン回転数も高くありませんでしたが、
コーナーの立ち上がりで後輪が突然スリップ。
ほんの少し滑っただけでしたが
その瞬間は何もできず金縛りになり
心臓バクバクの体験でした。
こんな時は、どうすればいいですか?

“怖い”は自己防衛本能が正常に機能している証拠

バンク角も浅く、エンジンも回転が高くない領域で、コーナー立ち上がりでリヤタイヤがヌルッときたら誰でも驚きますよね。リヤタイヤがわずかに横へ逃げただけでも、予想もしていなかった状況だけにトラウマに陥っても不思議ではありません。

そして、その後に恐怖感を取り除くにはどうしたら良いかというご質問もよくいただきます。しかし残念ながら特効薬はないのです。

これは気持ちの部分なので、“ビックリした”、“怖かった”という心に刻まれた事実は、そう簡単に消せはしないのです。

こんなときいつも申し上げるのが、怖いという気持ちは自己防衛本能が正常に機能している証拠、ということです。また同じことが起きたらどうしようとか、ビビってしまう気持ちから早く抜け出したいというのもわかりますが、あまり焦らず、深く考えないほうが良いのではないでしょうか。

もし自己防衛本能が機能せず、すぐに怖さを忘れてしまうようなら、次は必ずや重大なアクシデントに見舞われてしまいます。これくらいで落ち込んでどうする……くらいの気持ちでいましょう。

oshiete-nemoken_077_01

路面が荒れていた、路面温度が低かった。あるいはエンジン回転数を上げすぎていた……など、リヤタイヤが滑る要因はさまざま。その中の一例として挙げられるのが、ライダーの荷重が抜けて滑ってしまうケース。身体に力が入ってしまっていると、シート座面を通してリヤタイヤへの荷重がかからず、滑りにつながることも。腕や足をはじめとする身体を柔軟に保てているか、常にチェックしておこう

体重をしっかり載せられているか?

では、リヤタイヤがもし滑ったら……対処法はないのか? という面についてお答えしましょう。

滑るという現象は、それまで一定だった動きに対し、いきなり違う早さの動きに見舞われるということですよね。ライダー側にこれを誘発する原因がないかというと、やはりあると思います。

まず考えられるのは、体重がしっかりとリヤタイヤへ載っていなかったということです。身体を常に柔軟にして、シートにお尻が沈み込むようにしていれば、路面に接しているリヤタイヤのトレッドをたっぷりと凹ませることができるため、いきなり滑るというを状態を誘発しにくくなります。

また、滑ったときのエンジン回転数は高くなかったということですが、たとえば1,000ccクラスのビッグバイクであれば、3,000〜4,000rpmあたりでスロットル操作を行っているかぎり、トレッドが凹んでいるリヤタイヤがズルッと横へ逃げていくことはまずありません。

高くない回転域といっても6,000rpmも回っていれば、十分に滑る可能性のある領域です。コーナーで加速するときでも、4,000rpmまで達したらバンク中でも次のギヤへシフトアップするなど、安心できる領域だけを繋いで走りましょう。

そうしているうちに、精神的にも大丈夫と感じている時間が積み重なり、ほどなく怖さが常にある状態から抜け出せるはずですし、徐々に楽しさを感じられるようになると思います。

低い回転域なので、いきなり吹き上がる心配もないワケですから、少し大きめにスロットルを開けるのがコツです。これでタイヤがさらに凹んで、路面に対し安定感・安心感を強く感じられるはずです。

oshiete-nemoken_077_02

もしも滑ったら……どうしても不安を払拭できない人はオフロード走行を体験してみるのもお薦め。低速でも舗装路のようにグリップしてくれず、絶えず横方向の動きに見舞われるため、どの程度の動きなら転んだりしないスライドなのかも徐々にわかるはず。身体もそうした動きに身構えるのではなく、むしろ動きに追従していく柔軟性をキープしたほうが、安定性が崩れないことも体感できる