最速最強フラッグシップの宿命を果たすため袂を分かつZZR1200にZX-12Rのシャシー仕様!

カワサキを代表するフラッグシップの代名詞ZZ-R(ダブルズィーアール)の源流はZZ-R1100。
1984年のGPZ900Rが目指した世界最速のポジションは、GPZ1000RX、ZX-10と継承され、1990年に空気抵抗係数CD値0.3を達成するフォルムを開発、レプリカ系とは一線を画したスーパーツーリングスポーツの頂点としてZZR1100が君臨した。
しかしHAYABUSAが300km/hオーバーをアピール、対抗するには次元の異なるスペックが必要と2000年にエンジン幅しかないアルミのモノコックフレームのZX-12Rをリリース。
ところが全てに尖った戦闘モードで乗るビッグバイクの様相はZZRファンが靡かず、2002年にエンジンをZRX1200RをベースにシャシーもツインチューブとしたZZR1200との2本立てとなっていた。

そのZZRらしさを取り戻したZZR1200だったが、頂点をイメージするにはワイルドさが欠けている評価となり、カワサキは革新の寵児だったZX-12RをZZR化する決断を下したのだ。
エンジンはボア84.0mm×ストローク61.0mmの1,352ccまで排気量を拡大。
クランクシャフトとインプットシャフトにアウトプットシャフトの3軸を三角形に配置した超コンパクトで超ナロウ。
さらに1軸ではなく2軸2次バランサーを駆動することで振動のなさからリジットマウントのフレームの軽量化を果たす完全な新設計での開発だった。
最大出力は190ps/9,500rpm(高速走行のラム圧によって200psが可能!)、反面2,000rpmという低回転で10kgmの強大トルクを発生するとてつもないエンジンに仕上げた。



フレームはZZR1200のオーソドックスなツインチューブではなく、ZX-12Rと同系のアルミ・モノコックを新設計、エンジンを強度メンバーとしたことからフレーム単体で2kgの軽量化と、縦剛性で230%に捩じり剛性で90%の乗りやすさを与えた仕様としている。
因みに車重は乾燥で215kgの最軽量に収め、1,460mmのホイールベースにコンパクトなエンジンのメリットで安定感に幅を持たせるスイングアームの長さを確保、0-400m加速でカワサキ歴代最速を得ながら尖った鋭さを感じさせない乗り味で、ファンを驚愕させた。



フラッシュサーフェイス化したフロントには特徴的な4つ目を配し、ラム圧を優先したエア・インレットに冷却効果を劇的に高めるエア・アウトレットをアピールしたデザインはいかにもカワサキを感じさせる強烈な個性を漂わせている。
こうして最速の頂点に位置しながら、スーパーツーリング・スポーツの快適さを併せ持つ、本来のダブルズィーアールらしいZZR1400が誕生したのだ。


デビュー以降のイヤーモデルでは、外観をほぼ変更なしに推移したが、車体色はアメリカ向けに鮮やか系レッドなど投入したもののヨーロッパ向けを中心に追いついたダーク系で、ニュアンスを僅かに変えた艶やかさを与えるなどオトナを意識した展開が維持された。
スーパーバイク系でないため、カワサキのレーシーなシンボルであるグリーン系は使われてなかったが2011年モデルで遂にそのグリーン系も登場。
2008年から強化された排気ガス対応のC型とD型となってからは、渋めのツートンも加わり中古車マーケットで選択肢の広さが人気でもある。

そして2011年にスペシャル・エディションを最後にZZR1400には終止符が打たれ、2012年からはエンジンのボアを拡大して1,441ccとなったZX-14Rに車名も変わることに。
またトラクションコントロールなど、電子制御によるフィーチャーが加えられライダーへの安心感を増した仕様へと進化した。

このZX-14Rはエンジンの余裕や、熟成したハンドリングで傑作の呼び声も高い完成度だが、それだけ個性的な面はさらに影を潜めファンによっては好きさ加減で意見がわかれるところ。
ただこのZZRとZX-Rのせめぎ合いを経た経緯の重みは大きい。
熟成を重ね完成度を高めるのが特異なカワサキには、イヤーモデルで各々メリットも異なるので中古車選びでも悩みの尽きないモデルでもある。



