復活したモデルも改修とグレードアップでファイナルらしい熟成度をアップ!

スズキの400ネイキッドの車名として定着していたインパルス(Impulse)。
初代は1982年、前年にカワサキZ400FXやヤマハXJ400に対抗する気筒あたり4バルブのTSCCエンジンを搭載したGSX400Fをリリースしたものの、タイミングを合わせるように登場したホンダCBX400Fが圧倒的な強みを発揮、この牙城を崩そうとヨシムラのレース活動イメージで集合マフラーをサイクロン方式にしてヨシムラカラーの赤黒を纏ったの(GK72A)がはじまりだった。
その後、1986年のハンス・ムートによる奇抜なGSX-400X(GK71E)を経て、1994年からの第3世代(GK79A)が最も成功したモデルとして生産を終了する2000年まで人気だった。


その成功の鍵を握っていたのが1992年のGSX400S KATANA。
1981年から世界を衝撃の渦に巻き込んだGSX1100S KATANAの人気が衰えず、当時は大型免許の取得が難しく逆輸入車を購入するのもハードルが高かった日本のファンに、その夢を叶えようと企画したのが400版KATANAで、その再現にはエンジンのボア×ストロークまで変え外観のサイズ感を重視、それはフレームにも及び全体に400としてはひとまわり大きくまとまっていた。
その走りはレプリカ系で軽く鋭いハンドリングとは一線を画す落ち着いた安定性が主体で、この素性の良さをネイキッドスポーツとして活用したのが功を奏していた。


こうして生産を終えた筈のインパルス(Impulse)が、何と2004年に復活を果たしたのだ。
それは単に生産を再開したのではなく、エンジンからキャブレターにスロットルセンサーを加えた新型に刷新、そもそも400版KATANAで得意だった中速域のピックアップとトルキーな力強さを増していた。
またシートも形状をよりフラット化して快適さと足つき性を改善、サイドカバーをトラディショナルなコンパクトデザインとしてシートカウルも懐かしいダックテールとしている。
しかもファンを釘づけにしたのがブレンボ製ブレーキキャリパーの装着。
他にも排気ガス規制への対応や先々を見越した手を入れた部分もあり、新たにリリースするからには従来を超えたレベルを目指すあたり、スズキのエンジニア魂の一環を感じさせている。
その最たるところが、アルミのφ120mmと大径のサイレンサーだろう。新しく排気ガス規制へ対応しても、従来よりパフォーマンスも向上、軽量で走りのバージョンアップアピールしていた。


そもそもこのエンジンは、外観のサイズ感をGSX1100S KATANAのイメージに近づけようと、BANDITなどのGK75Aをベースに何とシリンダーの高さを22mmアップ、これに伴いボア×ストロークを56mm×40.4mmから、52mm×47mmと6.6mmもロングストローク化、ストローク/ボア比を1100の0.917に限りなく近い0.904とした凝った構成。
ここまでストロークが長くなるとクランクシャフトも鍛造型から新設計、同時にクランクウェブの形状を変更して回転慣性を11%増して、低中速域のフィーリングを粘り強く滑らかな特性としていた。
その結果、アイドリングのまま、ローギヤにシフトしてクラッチをゆっくり放すと、GSX400S KATANAはスルスルと発進できるという、400cc4気筒では異例の特性を身につけていたのだ。
これに2004年からのGK7CAでは、キャブレターをスロットルセンサー付きとして各回転域の点火特性だけでなく、スロットルの急開操作にもライダーの感性に馴染む力強いレスポンスが得られるようになり、大径のアルミサイレンサーと共にスペック表記こそ従来と同一だが、乗ると排気量が大きくなったかと思わせる逞しさへと進化していた。

フレームは従来から変化はなく、ステアリンヘッドの位置を高めビッグバイク的なリーンの感触としたハンドリングの好感度を受け継いでいる。
とくにアルミ製のスイングアームをホールドするピボットまわりにが、スチールの鍛造パーツを溶接する強固な仕様。
サスペンションの長さが変わったことで、フロントのアライメントが僅かに軽やかな傾向となっている。




そして2008年、スペシャルエディションとして初代インパルスと同じ、赤黒のヨシムラカラーを纏ったファイナルバージョンが登場した。
エンジンのケースカバーには懐かしいTSCCのロゴを復活、赤黒のレースシーンでの熱いイメージがインパルスには欠かせないということで、ファンにはたまらない垂涎のモデルだった。




