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「融雪剤」は滑るしサビる! 雪の直後はもちろん、冬こそ走行後の洗車が必須!【ライドナレッジ020】

冬場の山間部や、橋の上は路面の凍結に要注意!

「寒くても走りたい!」という元気なライダーが増えている。近年は防寒性能に優れた冬用ウエアや電熱ウエアも数多くリリースされているので、キチンと装備すれば真冬でも凍えずに走ることができる。とはいえ冬の路面には要注意! 天気が良くても冷え込むと、標高の高い山間部のワインディングや、平地でも橋の上などは凍結している危険があるからだ。
しかし管理が行き届いた道路の場合は、凍結したり降雪すると(または凍結や降雪の予報が出ると)、「融雪剤」を散布して路面の凍結を防いでくれるので安心……というワケでもない。

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山間部のとくに日陰や北斜面は路面が凍結しやすい。そこで道路管理者が融雪剤を散布して溶かしたり、凍結を防ぐ。写真の手前の方に見える白い粒々が融雪剤だ。写真はアネスト岩田 ターンパイクの山間部で、ライダーやドライバーの安全な走行のために道路の管理を徹底している。SNSなどでも当日の道路状況などを告知しているのでチェックしてみてはいかがだろう
Twitter:箱根ターンパイク株式会社@turn819

凍結しているよりはマシだけれど……

融雪剤や凍結防止剤と呼ばれる薬剤には様々な成分が含まれているが、代表的なものは塩化ナトリウムや塩化マグネシウム、塩化カルシウムだ。通常、水は0℃で氷になるが、塩分などを混ぜると0℃では凍らなくなる。この作用を利用して凍結を防いだり溶かしているのだ。

ちなみに塩化ナトリウムの水溶液は凝固点(凍結する温度)が-20℃、塩化マグネシウムが-30℃、塩化カルシウムが-50℃といわれる(いずれも濃度で変化する)。さらに塩化カルシウムの場合は水に溶けると発熱する性質を持っているので雪や氷を急速に溶かすのに効果的。そのため、山間部などで使われる融雪剤は塩化カルシウムが主成分のモノが多い。

こうして融雪剤は凍結を防いでくれるが、路面上から氷や雪が消滅するわけではなく、水に変化している。しかもかなり冷たい水で、かつ融雪剤が混ざっているので、じつは“けっこう滑る”。もちろん凍結や雪よりは断然とマシなので、クルマ(四輪車)ならかなり安心できるのだが……。バイクの場合は、通常の雨で濡れた路面よりは滑ると思って間違いないので、速度を落として慎重な運転を心がけよう。

融雪剤が撒かれた直後は白い粒々が見え、次第に車のタイヤで潰れて石灰のような粉状になるが、視覚的に判断できる。しかし氷や雪と反応して溶けてしまうと普通の濡れた路面と見分けがつきにくい。そんな時は路肩(融雪剤が撒かれていない)の路面と見比べるとわかるかもしれない。とはいえ路面が濡れているように見えたら、融雪剤が撒かれている前提で走ろう。

“塩”だから当然サビる! 帰宅したら即洗車!

そして融雪剤が撒かれた道を走ると、車体の金属部分がサビる。主成分が塩化マグネシウムなら比較的サビにくいが、塩化ナトリウムや塩化カルシウムを含んだ水が金属部分に付着すると酸化、すなわちサビが発生する。とくにエンジンやマフラーなど“発熱する金属と塩水”の組み合わせは、もっともサビやすい状況なので、帰宅したら速やかに洗車することが肝心だ。融雪剤が撒かれるのは当然ながら寒い時期なので洗車は億劫に思うかもしれないが、そこは愛車のために頑張ろう。
ちなみに塩化カルシウムは皮膚に付着すると炎症を起こすことがあるので、洗車時はゴム手袋やメガネなどをして、肌を露出しないようにするのが安全だ。

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融雪剤の成分は、簡単に言えば“塩”なので、付着すると金属部分がサビる。帰宅したらできるだけ速やかに洗車しよう。とくにエンジンの下面やマフラーなどは念入りに! 写真は素手で洗っているが、塩化カルシウムは皮膚に炎症を起こす危険があるので、ゴム手袋をはめて洗車しよう

平地や住宅街でも注意した方が良いかも……

融雪剤といえば、以前は道路を管理する自治体や会社が使う“業務用の薬剤”という立ち位置だったが、近年はホームセンターなどで“家庭用の融雪剤”が販売されている。玄関前やガレージの前の道路などの凍結を防いだり、雪かきの手間を減らすために散布するのも一般的になってきた。さすがに雪が積もっていたらバイクに乗らないだろうが、冷え込んだ日や降雪後は住宅街でも融雪剤が撒かれた道を走る可能性がある。……というワケで、冬場は走る場所やツーリングに限らず、慎重な走りと頻繁な洗車が大切、というコトだ。

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積雪後の市街地でも融雪剤が撒かれている可能性がある。そのため、都内で雪が降った直後を走行した場合も洗車は必須なのだ