アクセルを戻した時にマフラーが発する音は、アフターファイアー? バックファイアー?
コーナー手前でスロットルを戻してエンブレが効いた時などに、マフラーから“パラパラパラッ!”と音がしたり、少し昔のキャブレター車だと「パンッ」と破裂するような音が聞こえることがある。注意してレース映像などを見ると、スタートから1コーナーに飛び込む際に「バラバラバラッ」という音とともにマフラーから瞬間的に火を吹くこともある。
これは「アフターファイアー」と呼ばれる現象。「えっ? それってバックファイアーじゃないの!?」と思った方も多いはず。昔からなぜか混同され、かつバックファイアーの方が良く耳にするからかもしれない。
となると、バックファイアーは、どこから聞こえる音なのか? それはキャブレターやフューエルインジェクションのスロットルボディ、さらに遡ってエアクリーナーボックスから聞こえる場合もある。
というわけで、吸気側から聞こえるのがバックファイアーで、排気側から聞こえるのがアフターファイアーとなり、じつは発生する原因も少々異なる。
吹き返した混合ガスが爆発するバックファイアー
対するアフターファイアーは、エンジンのシリンダー内で燃え切らなかった未燃焼ガスが、マフラーのサイレンサー内に溜まり、それがサイレンサーの高温になった部分や排気熱で着火して爆発する症状。これも混合ガスが濃すぎたり、点火プラグが劣化している場合などに起こりやすい。
反対に、抜けの良いマフラーに交換すると、排気抵抗が下がることで結果的に混合気が薄くなり、点火限度を下回ることで未燃焼ガスが増加してアフターファイアーを起こすこともある。これは昔のキャブレター車に多くみられた現象だ。
エンジンとスロットルボディ(またはキャブレター)を繋ぐゴム製のインシュレーターが劣化して空気を吸い込んでいたり、マフラーの取り付け部(シリンダーヘッドとエキゾーストパイプ)のガスケットが傷んで密閉されていないと、頻繁にアフターファイアーを起こすこともある。この場合、燃調が薄くなっているため、放置して乗っているとエンジンにダメージを与える可能性もあるので注意したい。
吸気側に混合ガスが吹き返して爆発するのがバックファイアー(戻って爆発するからバック)。排気側で未燃焼ガスが爆発するのがアフターファイアー(後から爆発するからアフター)
頻繁に起こるようならバイクショップでチェック!
キャブレターでもフューエルインジェクションでも、きちんと整備されたノーマル車ならバックファイアーを起こすことはあまりない。なので頻繁に発生するようなら、バイクショップで診てもらうのが得策だ。
アフターファイアーはノーマルでも起こる場合はあるし、マフラーを交換したり燃調をイジっているとそれなりに発生する。とはいえスロットルを戻すたびに毎回パンパンいったり、スロットル一定の巡航中でも発生するようなら、なんらかのトラブルかセッティング不良の可能性もあるので、やはりショップに見てもらうのが安心だ。昔のキャブレター車でマフラーを交換している中古車を購入する時なども、気を付けてチェックした方が良いだろう。