ツーリングペースでも最新電子制御で快感ライディング!
「サーキットで本領発揮するマシン」の注目されにくい低回転域パフォーマンスは並外れて完成度が高い!
「サーキットで本領発揮するマシン」の謳い文句どおり、高速コーナリングでも旋回する軌跡が膨らまずに曲がり続けるパフォーマンス。160km/h以上のコーナーでも後輪が路面へ食い込むようにグリップして、グイグイと曲がりながら旋回半径を維持する途方もなさに圧倒される。
このいかにも高負荷を前提にしたエンジン特性は、8~9,000rpm以上で深くバンクしたままスロットルを大きく開けても、いわゆるピーク域に陥りがちな空転気味にならず、強大なトラクションを発揮するパワー/トルクの出方が絶妙。こうしたサーキットでなければ立証できない、高次元のパフォーマンス向上はさすがというほかない。
いうまでもなくハイパーエンジンの常識で、 160kW(218PS)を14,500rpmとピークパワーを従来より高回転化で得るエンジン特性とくれば、街中やツーリングはさぞかしストレスを感じるだろうとイメージしがち。ところがRR-Rは2,500rpmあたりからでも、曲がっていくのに有効なトラクションが得られ、しかもその特性は以前では考えられないほど完成度が高い。
一般的なワインディングで試乗してみると、モード1で5~6,000rpm以下のトルク特性がタイヤのグリップを最大限に引き出せるジワッとトラクションが強まる感じで、コーナーが小さければ3~4,000rpmの狭い範囲で矢継ぎ早のシフトアップを繰り返すと、グイグイ曲がる醍醐味いっぱいの走りでたまらない満足感に浸れる。
ホイールベース1,455mmのうち622.7mmもスイングアームの長さを稼げるトラクション効率(高速コーナーでリヤサスが沈んでも後輪を路面へ押し付けるアンチスクワットアングルを保てる)を得ているので、高速コーナーでもグイグイ曲がれるが、こうした低中速域でも本領発揮できる広範囲で有効なリヤ周りのアライメントが嬉しい。
しかも発表試乗会でエンジニアが説明してくれた通り、スロットル全閉から開けたときのレスポンスが唐突でないのはもちろん、瞬時のことだがライダーの感性に馴染みやすいジワッとトルクが強まる僅かな時間差が絶妙で、様々なシチュエーションで試すとこの燃焼復帰性というか、電子制御が猛烈に細かい過渡特性まで扱いやすい出力カーブにしているのを感じられる。
この完成度こそ最新の電子制御ならではで、ワインディングの走りやすさと楽しさは、ハイパーマシンで群を抜いているといえるだろう。リスクの高い走りとの格闘より、手に負えるエネルギーの中でマシンを操る楽しみが得られるほうがどれだけ健全か、これは説明の必要もないだろう。
いま高性能とはこうした回転域まで行き届いているか否か、そういう時代を迎えているのだ。
SPモデルのリモートで様々に設定できて、走りの状況で特性を変化させるNPXフロントフォーク とTTX36リヤサスも、こうした一般公道の速度域では乗りやすいようやや動きやすくなって、ライダーの負担を軽減している配慮も素晴らしい。
「サーキットで本領発揮するマシン」の謳い文句で、そんなにサーキットへ行けるワケじゃないしと躊躇していたライダー諸氏、RR-Rは歴代のCBRを通じても最もツーリングを楽しめるキャラクターであることをお忘れなく。
SPEC
- 最大トルク
- 113Nm 11.5kg・m/12,500rpm
- 変速機
- 6速リターン
- フレーム
- ダイヤモンド
- 乾燥重量
- 201kg
- タイヤサイズ
- F=120/70ZR17 R=200/55ZR17
- 全幅/全高
- 745/1140mm
- 燃料タンク容量
- 16L
- 価格
- 242万円~