頼らずとも安心を身近に感じ、
走るシチュエーションでモード変更など
一緒に取り組ませるムルチの伴侶ぶりが新しい
Multistrada Discover Japan Trip は天を覆う薄暗い森の深さを抜け出し、地平線から水平線まで春の空色が拡がる瀬戸内の解放感で思いきり深呼吸。
空の広さと車体ボリュームの大きさが合うというか、堂々とクルージングするムルチは意外にも飽きさせない。スマホと接続前提の収納部分にはじまり、メーターパネルに表示できるナビゲーション・システムで情報チェックや様々で遊びながら、革新的なライダーアシスタンス・レーダーシステム(V4S)で頼るワケではなくとも安心車間を意識したり、最新電子装備のフィーチャーに身を置くこれまでにないバイクとの関係が、何もしない受け身時間を生じないからだ。
スポーツ、ツーリング、エンデューロ、アーバン(街乗り)の4モードも、必要とする状況であろうがなかろうが、変化するシチュエーションを遊ぶ意味で設定変更する気になる。
日常の生活道具となったスマホをいじる感性のまま馴染みやすいミラーリング・ファンクション(スマホとバイクを接続)で、6.5インチのTFTスクリーンとの対話がいつの間にか当たり前に変わっていた。間違いなく、この満足感は新しい。
DTC、コーナリングABS、DWC、DQSといったアシストを搭載した170ps、スーパースポーツではないカテゴリーだからこその贅沢さも半端ない。
そして人の気配がない早朝の倉敷で、タイムスリップに浸る。時代もカルチャーも、大きくかけ離れたコントラストで時間の止まった空間を楽しむ。
これほどまでにムルチストラーダの見栄えの良さを自慢気に眺めるとは……旅は道連れで情が移ってきた。
目指す瀬戸大橋へ辿り着く。大きなパノラマな風景を前に、ムルチストラーダがそのスケールに負けないのに感動。
春爛漫の風に吹かれながら海岸線を駆け抜け、散りはじめた桜に別れを告げながら、次の景色を捜す旅へと思いを馳せる。
ムルチには、そうした旅を促す新しいパワーに満ちているから、億劫になんぞなっていられない。確かにコイツはバイク旅のValueを高める存在だ。
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