最新のハイエンド・マシンを購入したのですが、クラッチを切らずにギヤチェンジできるクイックシフターを操作すると、瞬間バイクが激しく前後に揺すられ怖くてフツーにクラッチを切っています。何かコツでもあるのでしょうか?
A.クラッチを切らずにギヤチェンジできるクイックシフターは便利なはずですが、確かに操作するときの状況によっては仰るようにギクシャクしたりショックがあって怖い思いをするかも知れません。加速(増速)側の場合は少しでも加速トルクがミッションに伝わっていればスムーズにできるので、その構造から知ればそんなにムズカシクなく操作できると思います!
ミッションはドッグというギヤと一体の凸凹が出たり入ったりしてギヤが変わる……
そもそもオートバイのミッション(変速機)は、6速とかあってもお互いのギヤは噛み合った状態で、その間にあるドッグと呼ばれる凸凹が、シフトレバーと連動したセレクターによって噛んだり離れたりでギヤを選択する仕組み。
クイックシフター(パワーシフトやオートシフターとも呼ばれる)は、このドッグがお互いに噛んだ状態で、加速して駆動力が両方のドッグに伝わっているのを、感圧センサーがシフト操作を感知して、点火カットを一瞬だけしたとき、その駆動力が瞬間途切れるので、ギヤが抜けやすく入りやすくなるのを利用しています。
つまり駆動した状態に一瞬だけスキをつくることで、ショックも感じず駆動も途切れた感じにならず、シフトアップが瞬く間にできてしまう……というモノなのです。
ドッグに駆動力が加わったまま一瞬点火カットすると瞬時にスムーズなシフトアップが可能に!
これを加速も減速もしていない、スロットルがパーシャル状態で、さらにゆっくりシフトレバーを操作すると、点火が切れた時間が長くなり、ギヤも瞬間どこにもシフトされていない状態が介在して「ガチャンッ!」と大きな音や、前後にバイクを揺する駆動が途切れたり加わったりを繰り返す状況に陥ったりします。
そこでまずは慣れるため、低い回転域でスロットルも1/4程度に捻ったまま、サクサクと矢継ぎ早にシフトアップしてみましょう。
ブーッ、ブーッ、ブーッ、ブーッとショックなくシフトアップするはずです。
エンジンの回転域も、上昇率とトルクの質も路面を噛みやすい、低中速域が誰でも楽しめる領域です。
丁寧にクラッチを切って操作するより、クイックな操作のほうがギヤも駆動系も傷めない!
もちろん、フツーにクラッチを切ってギヤチェンジしても差し支えはありません。
ただクラッチレバーをいっぱいに切って、クラッチが完全に切れた状態でギヤチェンジを確実に操作したほうが、丁寧でミッションやクラッチを大事に扱っていることにはなりません。
この操作で耳をすましてもらうと「ガシャンッ」と機械音が聞こえます。
実は時間を位かけると回転差が生じてしまい、その差のある回転どうしが無理やり噛み合わされている衝撃音が「ガシャンッ」なのです。
これはクイックシフターのないバイクでも同様で、小さく素早くサッサと済ませる操作が、バイクも傷めず長持ちします。
慣れたらコーナーで軽くバンクしたままシフトアップできて、ちょうど良いトラクション領域を、スピードオーバーしない範囲で繋ぐことができます。