もう少しカジュアルに乗ろうと思い、スーパースポーツから新型のスポーツネイキッドへ乗り換えました?街中など一気にのりやすくなり、その快適さを楽しみはじめたのですが、ツーリングへ出かけてコーナリングする場面で、バンク角が深くなりかかると不安ばかり募えい、リーン操作からわからなくなってしまいました。乗り方をどう変えたら良いのでしょうか?
A.前傾度の違いだけでなく、シート座面へ体重の載る位置、重心となるエンジン位置とライダーの関係も違います。体幹移動で車体をリーンする基本原理は同じですが、ちょっとした入力の強弱や方向など、注意すべき点はいくつかあります。
スーパースポーツの前傾姿勢はコーナリング向きだった……
スポーツバイクには上半身が伏せた前傾姿勢のスーパースポーと、上半身が起きたアップライトのスポーツネイキッドの、ライディングポジションが大きく異なるカテゴリーがあります。
イメージでいえば、フツーに乗れるネイキッドと前傾姿勢で色々大変そうなスーパースポーツと思われているのが一般的でしょう。
しかしコーナリングなどスポーツライディングを意識したスポーツネイキッドとなると、開発段階からエンジンやライディングポジションなど相応の高度なフィードバックがあり、本格的に乗りこなすには専門知識も必要になってきます。
もちろんスーパースポーツにもは、前傾姿勢で操るコツなどある程度の予備知識と実際に慣れるまでの時間が必要ですがが、コーナリングに特化したポジションが功を奏してビギナーでも曲がれる醍醐味をすぐに味わえる敷居の低さもあるのです。
ではスーパースポーツのライディングポジションが、どれだけ車体の操作に影響していたのか、あらためてチェックしておきましょう。
①頭の位置:頭を含め上半身が低いため、リーンへの影響度は低い。極端に深くバンクしたいときは、ハンドル位置まで上半身を左右へ移動するアクションが必要!
②体幹:前傾姿勢で車体のロール運動に影響を与えにくいので、リーンのきっかけづくりのは明確な体幹移動が必須。
③シート座面:コーナリングフォームではアウト側の太股が密着しやすいので、とくにニーグリップを意識せずに済む。
④後輪の荷重コントロール:曲がれる能力は加速Gも含めすべて腰(骨盤)でうけた荷重次第なので、逆らう動きさえなければ妨げることは少ない。
⑤エンジン(重心)位置との関係:最新モデルでは運動性を優先して重心が高めなので、余計な入力をするとリーンを重く感じる。
⑥ハンドル位置の功罪:低い位置で両腕が伸びた状態で掴むため前輪の動きを妨げる入力に陥りやすい。しかし燃料タンクの両縁と接したホールディング覚えると、チカラを抜いたフォームに馴染みやすい!
アップライトな姿勢は余計な入力で運動性を鈍くしがち!
スポーツネイキッドは、簡単そうで姿勢に自由度があることが、却って操作がアクションの妨げになりやすく、高度なライディングには意外なほどスキルが必要です。
上半身が起きたアップライトな身体の姿勢と、車体の運動性との関係をスーパースポーツと比較する意味でチェックしてみましょう。
①頭の位置:頭や肩の位置が車体から遠く、テコの原理と同じで少しの動きが影響を及ぼしやすい。無駄な動きは車体の運動性を妨げる可能性も大きい。
②体幹:上半身が起きている効果で、脇腹の脱力など腰と重心を移動する効果に直結するため、コツを覚えやすい。
③シート座面:後輪を軸に操作するとき、前後へ移動しても影響度が小さく、効果を明確にするにはライダーが大きくアクションする必要がある。
④後輪の荷重コントロール:体重が載りやすく、加重だけでなく脱力でグイグイ曲げられる自由度の大きさが醍醐味!
⑤エンジン(重心)位置との関係:過剰に低重心化しない傾向なので、安定性と運動性が両立する位置が多く、ハンドルからチカラが抜けていれば乗りやすい状態が得やすい。
⑥ハンドル位置の功罪:ホールドしやすい位置のため、緊張すると過剰にホールドしがちで、前輪を抑えて曲がらりにくくなるので要注意!
といった按配で、ちょっとしたことで運動性の妨げになる入力をしがちです。
この無駄な入力に気をつけて、むしろ体幹の重心移動がしやすいポジションを活かし、脱力など筋肉を緊張させて緩めたりするコツを覚えると、リーンのきっかけがわかりやすくなるはず。
ただせっかくカジュアルに乗れるライディングポジションのバイクに乗り換えたのですから、コーナリングはバンク角を深めずに、ブレーキングのリリースをきっかけにリーンしたり、スロットル操作のメリハリでトラクション効果を強めた旋回加速するなど、メリハリをつけたリスクの少ないコーナリングを楽しんでください。
- Words:
- 根本 健
- Photos:
- 藤原 らんか,真弓悟史,井上 演