A.スリップやロックが起きにくい、効きにくい設定にしているからです
初めてスーパースポーツのオーナーになりました。
これまでのネイキッドやツアラー系のバイクと異なりリヤブレーキが効かない気がします。
ディスクローターもかなり小さいですが、それはなぜですか?
スーパースポーツのリヤブレーキはロックしにくい特性になっています
バイクは急減速すると、減速Gで車体とライダーの重さが、前輪側へ移行します。フロントフォークはこの荷重で縮み、車体がノーズダイブするため、後輪の接地面の荷重が極端に減ります。このときリヤブレーキが効いていればスリップしやすく、悪くするとロックしたりABSが効いてしまうのはご存じの通り。
しかも、リヤブレーキをかけると、回転しているリヤホイールを減速するときに発生する、回転に対する反トルクがリヤサスを縮める方向へ働きます。ただでさえ、後輪の接地荷重が減るのに、急激にリヤブレーキが効くと後輪が浮き気味になるのですから、スリップやロックを誘発しやすいのは当然でしょう。
スーパースポーツは、このスリップやロックが起きにくいよう、極端に効かない設定にしてあります。リヤブレーキのローター径が小さいのは、ブレーキをかけたときに効きにくくする前提なのはもちろんですが、かけはじめに制動力が一気に増えない効果も狙っています。ブレーキパッドがローターを挟むとき、パッドとディスクとが接する面の速度差は、ローター径が大きければ速く、小さければ遅くなりますよネ。フロントディスクのブレーキローター径が大きいのは、まさにこのパッドが接する部分の速度を上げ、即座に制動力が効きはじめるためで、リヤブレーキは全くこの逆を狙っているワケです。
ネイキッドであるホンダCB1300SF&SB(画像左)のリヤブレーキ径はφ256mm。スーパースポーツのCBR1000RR-R(画像右)のリヤブレーキ径はφ220mm。パワーは100psもCBR1000RR-Rの多いのにリヤブレーキは小さい
とはいえ、スーパースポーツでも一般公道をツーリングするワケで、まったく効かないというのは困りモノですよネ。さらに街中の左折など、小回りするときのきっかけや、ウエットコンディションでスロットルを開ける寸前にリヤサスの動きを抑えておくとスムーズに加速へ移行できるなど、スーパースポーツでもリヤブレーキは必要です。
そこでリヤブレーキをかけるとき、つま先でブレーキペダルへ入力せず、ステップに載ったブーツの土踏まずを軸に入力するよう心がけましょう。慣れないビギナーには、ブーツの踵をステップに載せる位置まで足をやや前に置き、踵を軸にクルマのブレーキのようにかける方法をアドバイスしています。
こうすることで、ジワリと入力できて、急にブレーキ圧を上げてしまうような入力を防ぐことができます。リヤブレーキをどう使っていいか迷っているライダーは、ぜひ試してみてください。不思議なほどロックもせず、意外に効いてくれるはずです。
しっかりと支点をつくることでただ制動するだけでない、コントロールできる操作が可能に。次にどこからブレーキが効きはじめるかなどを意識しながら、土踏まずをステップごと踏みながらペダルを踏んでみよう。また、最近のスポーツバイクはABSも搭載されているので、ロックを怖がらず積極的に使ってみよう
リヤブレーキが上手く使えない……そんな方はRIDE LECTURE 003「リヤブレーキはなぜ苦手?」をチェック!
リヤブレーキはなぜ苦手?|RIDE LECTURE 003|RIDE HI
- Words:
- 根本 健
- Photos:
- 藤原 らんか