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コーナーで5,000rpmは回し過ぎ!【ライドナレッジ039】

Photos:
高島秀吉,藤原 らんか

リヤタイヤが路面を蹴る時間を繋ぐ最新の楽しみ方

上のタイトル画像は5速で2,000rpm、燃費を気にして低回転域で僅かにスロットルを開けた走りをイメージしたら、時代に取り残された旧いライダーといわれてしまうかも。
5速で2,000rpm、コーナー途中なのでスロットルは半分より捻った状態、まだカーブが続くならほどなく6速へシフトアップかな?というのが、どこでもグリップを高めて安定と醍醐味を楽しむのが新しい乗り方だ。
コーナーが続くワインディングを、2速や3速の5,000rpm以上でスロットルを加速も減速もしないパーシャルで走っているのではないだろうか? でも10,000rpm回るエンジンだからと、カーブでもせめてこのくらい回して、危なくないようスロットルは開けないで乗る、これがフツーと思っているライダーはまだ多い。
同じ場所を5速か4速で3.000rpmも回さず、常にスロットルは大きめに開け、回転が4,000rpm手前まで上がったらすかさず6速にシフトアップ、この開け閉めとシフトアップ&シフトダウンを頻繁に繰り返し、路面を蹴るトラクションの時間を主体に走りを組み立てるのが、低回転域の進化が著しい最新バイクのワインディングだ。

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低い回転域を使うのは、爆発間隔とトルクが効きやすい領域という大きなメリットのため

最新2気筒がこぞって270°位相クランクを採用して不等間隔爆発が広い、タイヤが路面に歩幅のワイドな蹴りを刻んで走るグリップ走法がメジャーになってきた。
これをさらに効果を高めるのが、高いギヤで低い回転域を使うやり方。このほうが路面を蹴る爆発間隔がさらに歩幅を拡げて効果があるのはイメージできるだろうが、じつは低い回転域のはこの爆発の歩幅より前に、トラクションの爆発が蹴るチカラの加わり方で見逃せない大きなメリットの領域があるからだ。

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エンジンはクランクの重いウエイトの慣性力を利用して、圧縮工程でピストンを押し上げ繰り返し回転する状態を生んでいる

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重いクランクのウエイトが回ることでグイッとトルクが発生する上昇の波が、グルングルンとトルク変動が明確な領域がトラクションとして効力が高い

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クランクのウエイトが高回転域になるとトルク変動の波が連続的になり、最高速度などパワー向きの出力になってトルクのチカラが目立たなくなる

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そのクランクがトルクを曲がるトラクションとできる領域はかなり限定的な範囲だ

限られた回転領域を繋ぐには、矢継ぎ早のシフトアップしかない

このように、曲がれるトルク領域が狭いとなると、この回転域を繋ぐ矢継ぎ早のシフトアップが必要になる。そしてそれはコーナリング中でも厭わない高い頻度なので、ほぼクラッチワークが介在しないスムーズでショックのないシフトアップだと、安心で途切れない一定のトラクション効果を持続できる。

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曲がりながら路面を蹴って曲がるトラクション効果を途切れのない一定の状態に保つには、パワーシフトが装備されていれば誰にでも可能となる

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このイラストにある操作を一瞬のまばたきレベルに早ワザで終える。操作を小さくクイックにピクッとするだけのイメージで済ませてしまうのがコツ

トルクとパワーの違いを感覚的にわかっておくと、トラクションを弱めない領域が直感できる

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グーン、グーンと漕ぐ度にグイッグイッとボートが加速の増減を伴いながら速くなっていくのがトルク

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漕ぐオールが回転しているように速くストロークしていると、加速も強まる波もなくなり徐々に絶対的な速度まで上昇していくのがパワー

ということで、曲がりやすいトラクション効果を得られる回転域が限定的な領域であるのがおわかりいただけたと思う。ココを常に繋いで走れば、大きな安心感や安全マージン、そして曲がれる醍醐味の時間を長く繋いで走る面白みにどっぷりとハマることができる。