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このバイクに注目
MV AGUSTA
2024model

曲がれるアライメント最優先のMV Agusta!【このバイクに注目】

Photos:
MV Agusta,RIDE HI Archive

1960年代のGPマシンに設定されていた可変ピボット

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MVアグスタは、1960年代に日本メーカーが世界GPで50cc、125cc、250cc、350cc、そして500ccの全クラスを席巻するなか、唯一最高峰500ccクラスだけメーカータイトルこそライダー数で及ばなかったが、個人タイトルは死守した孤高のブランドとして名を馳せていた。
曰くシャシーがイタリアのノウハウで優れている、高回転高出力のピーキーなホンダに対し敢えて3気筒とパワーバンドの広い特性でコーナリングのポテンシャルが高く、追随を許さなかったと噂されていた。
その3気筒GPマシンのスイングアーム・ピボットが、偏心カムを締め付ける高さを調整できる設定だったのを、当時はほとんど知られていなかった。

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しかし総帥ドメニコ伯爵が亡くなり、勢いを失ったアグスタはヘリコプター・メーカーに専念することとなり、モーターサイクルの世界から姿を消してしまった。
そのイタリアの誇りを復活させようと、ドゥカティも傘下に収めたことのあるカジバのカスティリオーニCEOがブランドを買収、ビモータの創設者のひとりでドゥカティで916など傑作マシンを生んできた天才エンジニアのタンブリーニに全てを託し1999年にその夢を叶えたのだ。

そのデビューマシンのF4は、カジバでGPマシンも開発してきたノウハウを詰め込んだ、彼がビモータ時代から追い求めたパーフェクトなハンドリングのマシンだった。
そのスイングアーム・ピボットは、軸受けのフレーム側で縦に位置を可変としていた。これはGPマシンがコースによってコーナリング通過時の速度が異なるため。旋回加速のトラクション効果を調整するための、超プロフェッショナルな仕様となっていたのだ。

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これは1960年代のMV3気筒GPマシンと同じく、高速コースのコーナリングでリヤサスが沈んでも、旋回加速で後輪を路面に押し付けるトラクション効果が減らないよう、ピボット位置を高めるための仕組みだ。
エンジンがパワフルなF4をはじめ、MVアグスタはブルターレなど1,000ccではこの可変ピボット仕様としてきた。それは将来のモデルとして発表されたスーパーベローチェ1000でも、上下に4mmを調整できる仕様を明確にアピールしている。

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3気筒モデルでは、そこまでの強烈なトルクを発生しないため、この可変ピボットは採用されていないが、バイクを眺める位置を意識されるとわかるように、長いスイングアームの後輪を支えるアクスルシャフトの位置が思いきり低く設定されている。
ライダーが跨がると体重で深々と沈む、リバウンドストロークの長い設定がMVアグスタならで、アンチスクワット設定を大きく与える、まさに伝統を守り抜く設計というわけだ。

旋回加速でグイグイ曲がれるアンチスクワット設定!

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オートバイは加速するとリヤが沈むと勘違いしている人がほとんどだろう。
加速Gで車重も体重も一気に後輪側へ載るのだから当然のように思える。
しかしその通りだとしたら、車体が傾いたコーナリング中に加速したら、駆動力が働く後輪は路面から離れる方向へ応力が働いてしまう。
それでは後輪がスリップしてしまうので、スイングアームのピボット位置を上のほうへズラし、チェーンで引っ張られるリヤサスを沈める側に応力が働かず、エンジン側の駆動軸からは距離の近い後輪アクスルとの位置関係で、リヤタイヤを路面に押し付ける方向へ応力が働く設定としているのだ。

これをアンチスクワット(スクワット=しゃがむ、つまりしゃがまない)設定といって、最近の中型以上のトルクの強いバイクではほとんどで採り入れられている。
ただMVアグスタのように、この旋回加速の状況を優先したバイクは稀だ。

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さらにはエンジンのクラッチ位置を思いきり高くして、前後長を短縮しながらエンジンの重心位置に集約しやすい補機やフレームのレイアウト設定など、すべての要素がリーンするときの妨げにならない質量やアライメントとしている。
見るからに美しいデザインだが、実はこうした機能最優先としたレイアウトで設計されているのだ。

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そして超コンパクトな3気筒エンジンの逆回転クランクで、加速のリフトを抑えた特性や、中速域のいかにも路面を掴みやすいパルシブな鼓動によるトラクション効率の高さなど、ここまでハンドリングを最優先して設計開発するマシンは他にない。
それはキャリアに関係なく、乗ればわかる違いとして人々を説得する。

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そんな独自の感性を依然として継承する最新のMVアグスタのマシンたち。
乗ればわかるその価値を皆さんに知ってもらおうと、このブランドに資本参画したKTMグループが、RIDE HI主催のBIKE GATHERINGにエントリーされた方々限定で、サーキット試乗(先導車つき)をして頂く企画を今シーズンは毎回実施している。

先導つきだが、広々としたコースでリラックスして試乗できるので、その呆気ないほど軽快で素直なハンドリングをすぐ感じることができるはず。
ビギナーでも安心して参加できるRIDE HIバイギャザで、初のサーキット体験を楽しみながら、名車MVアグスタの試乗ができるこのチャンスにぜひ!

▶︎▶︎▶︎詳しいご案内とお申し込みはこちら▶︎▶︎▶︎ BIKE GATHERING.024 6月15日(土)