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このバイクに注目
KAWASAKI
ZX-10R
2004~2005model

分かる人だけ乗ってくれれば良い!ZX-10R初代の半端ない尖り方!【このバイクに注目】

Photos:
KAWASAKI

リッタークラスでサーキットを目指す過激なコンセプト!

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カワサキは2000年まで、フラッグシップとして世界最速に君臨するのが、半ばブランドのこだわりに近い歴史を歩んでいた。
しかしそれはサーキットで勝負するレーサーレプリカではなく、あくまでロードゴーイングを前提にしたスーパースポーツ。
レースの領域では750ccの世界選手権などをターゲットに、ZXR750がベースのZXR-7で闘う別路線と割り切っていたのだ。
1994年のZX-9Rと2000年のZX-12Rもそうしたコンセプトで人気モデルだった。

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ところが世界の市販車ベースの頂点レースが、750ccではなく1,000ccへと移行してしまい、カワサキはこのSBKレースで闘うマシンを開発することになった。
それが2004年にリリースされた初代ZX-10R。
それまでリッタークラスではサーキットを目指さなかったカワサキが、パフォーマンス最優先の課題と取り組んだ結果、初代ZX-10Rは何とも過激な仕様となったのだ。

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パワーウェイトレシオでトップを目指す!
数値目標としてこのスローガンで突き進んだZX-10Rは、その車体構成から他にない独自なモノとしていた。
そのひとつがアルミのバックボーン・フレーム。
ツインチューブなどでエンジンを囲むボリュームを嫌い、エンジンに覆い被さるようなデザインで、且つナロウな幅として軽量化だけでなくリーンの運動性も群を抜く特性を得ている。
またエンジンも、前後長を短縮するためミッションの配列を直線ではなく三角形に配置しているが、ライバルとその三角形を逆に組み、低重心化と兼ねた設計でエンジンのサイドビューが異様に上下があるように見えている。
ボア径76.0mm×ストローク55.0mmの998ccから175PS/11,700rpmとまさに最強。
車重が乾燥で170kgだったので、パワーウェイトレシオは「1」を切るとんでもないダッシュ力のモンスターとなった。

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ホイールベースが1,385mmの過激仕様は、果たして誰にでも乗れる優しさなど持ち合わせておらず、開発側も「分かる人だけ乗ってくれれば良い!」と豪語していたのだ。
まさにカワサキでなければ謳い文句にはできない熾烈な開発ストーリだった。

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とはいえ、実際のレースに投入されると頂点クラスのライダーに鍛え上げられ、ZX-10Rは歴代の積み重ねでライダーに馴染みやすいマシンへと変身していったのはいうまでもない。
しかし、このいかにもカワサキならではのマシン開発に込められた熱意こそが、ユーザーを魅了しつづけてきた経緯を忘れてはならないだろう。