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このバイクに注目
HONDA
CBR954RR
2002~2004model

CBR954RRは900RRで目指した軽量コンパクト路線の最終章に相応しい169kg!【このバイクに注目】

Photos:
HONDA

CBR900RRからの課題をすべてクリアした快挙の作!

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1980年代にホンダ最速の750ccは、V4エンジンが世界を席巻。
CBRで呼ばれる伝統の直4エンジンがスポーツ・ツーリング的なジャンルを担当していたが、V4に対抗しても良いとの許可が下り、鈴鹿8耐を制するCBR750RR(仮名)を目指したものの、全体の戦略上で製品化まで漕ぎ着けずにいた。

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しかしもういっぽうで、リッタークラスのフラッグシップはハイパー化と同時に耐えられる車体剛性を与えると大型化を伴い、ライダーの手に余るモンスター揃い。
そこでライダーが日常的なシーンで、大型バイクでも「ライダーが操る喜び」に浸れるスーパースポーツが必要と、自らライディングのエキスパートが率いる直4開発チームは、頓挫していた直4を再スタート。750cc以下の車重で600ccクラスに匹敵するコンパクトさと軽量のNewコンセプトを立ち上げ、1992年にCBR900RRとしてリリースしたのだ。
この圧倒的に扱いやすく乗り手を満足させるキャラクターに世界は驚喜し、排気量の900を含む車名より、FireBladeのニックネームで語られるほど愛されていた。

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もちろん、こうした状況にライバルも追いかけるように対抗してきた。カワサキは900ccと訊いて黙ってられずZX-9Rを、さらにヤマハは1,000ccのYZF-R1を投入してきた。
エンジンパワーでいえば、CBR900RRの初代が893ccで124PSだったのを、2世代目で918.5ccの128PS、さらに130PSまで高めていたが、ホンダは強みだった軽量コンパクトをさらに進めようと、フレームをピボットレスとしたCBR929RRを2000年にリリース、排気量も車名にあるように929ccとして150PSと、リッタークラスには抜かれないポテンシャルを身につけていた。
そしてこの競り合いを明確に制するべく、2002年にリリースしたのがCBR954RRだった。

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ボア×ストローク75mm×54mmの954ccは152PS/11,250rpmまで高め、PGM-FI電子制御燃料噴射システム)の採用で俊敏なレスポンスとワイドな特性を得ているのと、遂にエンジンでは排気系にチタン合金を使用、車重は170kgを下回るまさに600ccと同等の軽さを身につけたのだ。
シャシーは929RRで採用したピボットレスだが、実用化で得たノウハウからさらにシンプルな構成となり、ピボット回りの剛性と比例して増えていた重量も軽減、ホイールベースも1,405mmとこれも600ccクラスのコンパクトさだ。

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国内向けは91PS/10,500rpmと思いきりディチューン、低中速域へ特性を高めた仕様で一般公道での速さは定評があった。
とはいえ、スーパーバイクのレースでの排気量設定が1,000ccフルスケールとなったのを機に、求められる位置づけも変わり、CBR900RRからはじまった軽量コンパクトを目指すコンセプトもこの954RRを最後に、2004年からは完全フルスケール設計のCBR1000RRへとバトンタッチされたのだった。