時代のニーズにいち早く動き、発売に一番乗りしたハーレーダビッドソン
日本での発表会は神田神社で行われた
2020年12月、日本政府から2030年代半ばにガソリン車の販売を禁止する方向で調整を進めているというニュースが取り立たされた。ホンダも四輪レースの最高峰F1からの2021年シーズン限りでの撤退の理由としてカーボンニュートラルへの取り組みを語るなど、全世界的に自動車の電動化の流れが押し寄せてきている。
(ホンダニュースリリース『FIA フォーミュラ・ワン世界選手権への参戦終了について』)
そんなタイミングで、ハーレーダビッドソンは世界初の量産電動スポーツバイクであるライブワイヤーの日本市場への投入を決めた。国内メーカーもスクーターの電動モデルは市販しているが、量産スポーツバイクの電動モデルはハーレーダビッドソンが早かった。
いつかファン領域のバイクも電動化が進む……そう感じてはいたものの、それがハーレーダビッドソンからスタートすると想像していたライダーは少ないはずだ。
ライブワイヤーは、2014年にプロトタイプの開発が発表され、2015年にプロトタイプの試乗会、2018年に市販予定モデルの初公開、2019年にアメリカでの先行発売というプロセスで2021年春に日本で販売開始となる。
ハーレーダビッドソンはライブワイヤーのターゲットを、街でのライディングを楽しむアーバンライダー、「新しい走り」を体感したいライダー、テクノロジーへのアーリーアダプターへとしている。
バイクの特性が街でのライディングを楽しむライダー向けに、“ストップアンドゴー”が連続する市街地走行に最適化されているのは、現状のバッテリー技術での航続距離を考えると理にかなっている。“回生充電”という、減速時のエネルギーで充電する技術を用いて航続距離を伸ばせるからだ。今後バッテリーの技術が進歩して小型軽量化するとロングツーリング向けやサーキット向けなど、また違った楽しみ方ができる電動バイクが出てくるはずだ。
現状のスペックで趣味として電動バイクを楽しむことはできるのか
趣味としてバイクを楽しむにはバッテリーがどのくらい持って、何km走れて、どのくらいの時間で充電ができるのかなど気になる点が多くある。 ライブワイヤーの場合、ガソリン車同等とまではいかないが、100km〜200kmほどの日帰りツーリングならこなせそうだ。
最大航続距離がレンジモードで235km、高速道路走行で152km。ツーリング途中のサービスエリアやパーキング、道の駅などに設置されている日本国内の一般的な急速充電スタンドで充電すれば、約40分で0〜80%のDC高速充電、約60分で100%満充電することができる。
ルートを厳選する必要はあるが、昼食時や休憩中に充電することでガソリン車と一緒に日帰りツーリングもこなせるだろう。
実際に日本橋から道志みち経由、山中湖までのツーリングをプランニング
(参考:EVsmart)
高速道路と下道のワインディングを合わせた、片道約120kmのツーリングルートを組んでみた。スタートは日本橋でゴールが山中湖観光案内所のEVスタンドとした。
道の駅どうしなど、ルート上の他の施設にも充電スタンドがあるので、休憩がてら充電することで、電欠(ガス欠でなく)の心配はほとんどないはずだ。
アメリカンのイメージが強いハーレーが出した電動のスポーツバイク。これからのハーレーは先進的なバイクをもっと出してくるはずだ。他のメーカーに一歩先んじたハーレーの動向に注目したい。
日本メーカーもそう遠くないであろう二輪車電動化の未来へ向けて開発を続けている
カワサキがハイブリッドバイクを開発中であったり、国内メーカーも量産電動スポーツバイクの開発を進めている。各メーカーの電動バイクに期待したい。
地球規模でガソリン車が禁止の方向性となっている今、少し先の未来ではエンジンの鼓動は感じることのできないものになってしまうかもしれない。
しかし、電動バイクの技術も進歩するはずだし、そこにはエンジンとはまた違った楽しさが待っているに違いない。
ハーレーダビッドソンから始まった市販電動スポーツバイクの流れ。確かにガソリン車が無くなってしまうのは悲しいが、電動バイクの明るい未来にも期待したい。