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ビギナー必読、サイドスタンドは跨がってからはらおう!【ライドナレッジ113】

Photos:
藤原 らんか,Shutterstock,DUCATI

教習所で教わった不都合な作法を封印して 安全確実な手順をまず身につけよう!

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教習所を卒業して二輪の運転免許を手にしたビギナーが、バイクに慣れるためやバイク選びのためレンタルバイクに乗るケースが少なくない。
そのレンタルバイクの貸し出しで、ショップが悲鳴をあげているひとつが、サイドスタンドをはらってから跨がろうとして立ちゴケするケース。

これは教習所でそう教わってきたからムリもないのだが、いうまでもなく経験者なら跨がってからサイドスタンドをはらうのが常識だ。
なぜ教習所ではこのような不安定な跨がり方を指導しているのかといえば、その昔センタースタンドしかなかった時代に、重いバイクをいちいち持ち上げる手間を省こうと短時間の停車に便利なサイドスタンドが装備されはじめた1965年頃、はらう(格納)のを忘れたまま発進して転倒する事故が急増したので予めサイドスタンドをはらってから跨がるよう指導したからだ。

当時アメリカでは跨がってから車体を起すとサイドスタンドがスプリングで収納されてしまう方式や、サイドスタンドの先に長いゴムのフラップをつけて走りだしたらこれが路面に引っ掛かって収納されるタイプなどが登場。
しかし、いまはフェイルセイフが働いて、サイドスタンドが出たままギヤシフトするとエンジンが停止するのはご存じの通り。心配は無用だ。

それでもまだ教習所でこのように指導しているのは、跨がってからだとサイドスタンドが長い大型のアメリカ製バイクだと車体を深く右へ傾けなければならず、ビギナーが支えにくいリスクなどあるようだが、シート高が高いバイクも多くスタンドをはらわず先に跨がるほうが安心確実。

教習所側にも指導要項を守らなければならない事情もあるので、教習課程にあるライダーはこの作法に則り早々の卒業を目指そう。

駐車したらニュートラルにする呪縛も不要、
安心確実はローギヤに入れてから離れる

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停車にしても駐車しても、まずギヤをニュートラルにしないと……そうすることがキチンとした止め方、そんな風に思われているライダーが多い。
確かにメインスタンドのあるバイクなら、ギヤが入ったままだとスタンドを引き上げるとき後輪が回転せず重過ぎたり、ニュートラルにしておかないと不都合が生じる。

しかしほとんどのバイクはサイドスタンドのみ。
サイドスタンドで駐車するときは、ローギヤにシフトした状態にしておかないと、停めた場所がちょっと下り勾配だったりしたら、バイクの車重で前進してスタンドがはらわれ倒れてしまうことがある。

そこでバイクを離れるときは、ギヤがニュートラルではなく、そこからひとつ踏み込んだローギヤへシフトしておけば、ちょっとの勾配程度ならバイクが前進しないようにすることができる。

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駐車するときの手順として、停める位置に移動できたらニュートラルを探さず、クラッチを切ったローギヤのまま、スロットルの手許にあるキルスイッチをOFFにしてエンジンを停止、もしくは同じくクラッチを切ったローギヤのまま、サイドスタンドを出せばエンジンが自動で停止した後に、メインスイッチをOFFかハンドルロックにしてキーを引き抜く。

このように赤い非常用停止に備えたキルスイッチは、渋滞でエンジンを一瞬でも切っておきたいとき等、メインスイッチまで手を伸ばさずに点火カットできる。非常用として他の機能と連係してないため、日常使いしても問題ないので便利に利用するのがお奨め。