Vmaxと同時期にアメリカンカルチャーから
発想したマッチョスポーツ!

1985年、ヤマハがアメリカはカリフォルニアの現地でデザインしたVmaxは、アメリカならではのクルーザーやチョッパーのバイクカルチャーに新たな力強さを象徴したマッチョデザインで一世を風靡したのはご存じの通り。
日本でいうトラディショナルなネイキッド・バイクへの思いがないアメリカ・カナダに対し、ヤマハはこのマッチョスポーツのラインナップとして、750ccのFZX750をVmaxに続いて1986年にリリース。


エンジンはFZ750で開発した前傾45°のDOHC並列4気筒で、各燃焼室に吸気3バルブ排気2バルブの5バルブと、そもそもがスーパースポーツ用ハイチューン・エンジン。
68.0mm×51.6mmの749ccは、0-400mのダッシュをクラス最強とすべく中速域メインの設定として、94PS/9,500rpmと7.8kgm/8,000rpm(日本国内向けは77PS/8,500rpmと7.1kgm/6,000rpm)とエネルギッシュな特性としていた。





5VmaxでV4エンジンのVバンク間の吸気経路へ、Vブーストと呼ぶ前方からの走行風で加圧するイメージのデザインに倣い、FZX750も前傾45°のジェネシス・エンジンの真下へ吸気経路がある方向へ、メッキのカバーで象徴するデザインをはじめ、角パイプのフレームでダウンチューブ部分を冷却水通路に利用するヤマハ流の合理的設計や、フルメッキのリヤサス(窒素ガスダンパー)に排気系も前方連結とサイレンサー部分でも左右連結、そしてVmaxと同じディッシュホイール・デザインなど、アメリカンマッチョの流儀の定着を狙った同じ感性に包まれていた。

実はメインのアメリカ・カナダだけでなく、ヨーロッパでも興味を抱くライダーもいて、フランスやオランダにドイツからイタリアまで、それぞれのインポーターの感性でアメリカンスポーツをアピールしていた。ヤマハではこれより前、XJシリーズにもXJ750Aのようなアメリカンスポーツへのオリジナリティ投入をはかってきたが、Vmaxをきっかけにヤマハ流カテゴリーは暫くの間、安定して進化・成長を遂げていった。