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このバイクに注目
SUZUKI
GT750
1971~1977model

2スト水冷3気筒GT750で堂々のフラッグシップ!【このバイクに注目】

Photos:
スズキ

2ストロークで大型フラッグシップの高級路線へ挑戦!

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ホンダが1968年にCB750フォアで世界の大型バイク・メーカーに挑戦を開始すると、スズキも高価格で利益の大きなビッグバイクへのチャレンジを急いだ。
ところがスズキは2ストロークエンジンのメーカー、大排気量となると2ストは潤滑オイルが燃える白煙で大型クラスには向いていないというイメージを払拭しなければならない。
それでも定評ある2スト技術で、スズキは1971年にナナハンをデビューさせたのだ。

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日本メーカーの市販車では初の2スト水冷エンジンは、120°クランクの理想といわれるスムーズな回転と空冷の冷却フィンが不要であるのをアピール。
フラッグシップの高級感を醸し出すため、シリンダー表面が滑らかに磨かれていた。
またエンジンのみならず、トップスピードが180km/hを超える重量車には通常のドラムブレーキでは役不足で、世界GPマシンと同様に両面にブレーキパネルを持ち、冷却用の空気取り入れ口を設けた4枚のブレーキシューという特別な仕様を誇った。

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70mm×64mmの3気筒は、70PS/6,500rpmで7.8kgm/6,000rpmの強大なトルクを発生、252kgの超重量級車体でも人々を驚かせる俊足ぶりを見せつけた。
そのデビューの翌'72年、アメリカはデイトナでこのエンジンをベースとしたTR750が参戦。
そのパフォーマンスがビッグマシンでも2ストが通用する水冷テクノロジーを見せつけていた。

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2ストロークエンジンの3気筒は120°クランクと、爆発間隔が均等で短いため振動もなくシルキーな回転で人々を驚かせていた。
さらに爆発間隔から大排気量の2ストならではの中速域で力強いトルクを発揮。
そのスムーズにダッシュしていく俊足ぶりがファンを魅了したのだ。
そのデビューの翌'72年、アメリカはデイトナでこのエンジンをベースとしたTR750が参戦。
ビッグマシンでもカワサキ以外で2ストが通用する水冷テクノロジーを見せつけていた。

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翌年の1973年になると、両面パネルのドラムブレーキはディスクブレーキへ換装された。
重量級を直感させた佇まいも、カラーリングなどでスポーツ性を前面に出すようになり、そもそも振動が少ない120°クランクの3気筒をラバーマウントしていた快適性が評判だったこともあり、ツーリングスポーツ的なキャラクター・アピールへとニュアンスを変えていた。
日本でもしきりに「大人の男」を意識したキャッチコピーを頻繁に使っていた。

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特徴ある3気筒なのに4本となったマフラーは、中央のシリンダーからのエキゾーストを左右へ振り分けた個性的なレイアウトにはじまり、実際に乗ったことがないと想像できないほど、GT750の水冷3気筒ならではのシルキーフィーリングは異例といえる快感に満ちていた。
誇らしげな大型ラジエーターをアピールするデザイン、その冷却ラジエーターキャップを大きな燃料タンク前方へ配した構成など、世界で類をみない2スト・フラッグシップの威風堂々たる存在感は、いま見てもインパクトに満ちている。
とはいえ、世界は750ccから1,000ccへとエンジン排気量をアップしていく流れにあり、さすがに2ストロークでは及ばない領域となり、スズキも1976年に4ストロークDOHC4気筒がGS750のデビュー、1977年モデルを最後にその役割を終えるのだった。