GPZ250Rの奇抜さから一転、硬派のカワサキイメージに身を包む!
1985年12月、カワサキは水冷DOHC2気筒で、それまでのメーカーイメージでは異端というべきシティ派のお洒落なスポーツバイクをGPZ250Rリリースした。
250ccクラスの幅広いユーザーヘ向け、カワサキは硬派なバイクで対応してきたが、時代と共に女性を含む若い層へ自由な解放感をアピールするチャレンジが込められていた。
そのフォルムはスーパースポーツとは一線を画した独得なフォルムで、様々なカラーリングを着せ替えられるというアイデアも特徴的。
ただ残念ながら250ccユーザーはコンサバで、カワサキの期待はアテ外れに終わった。
しかしこれを機に新規開発した水冷パラ(並列)ツインは、62mm×41.2mmのショートストロークの248cc。43ps/13,000rpmと2.4kgm/11,000rpmで回転計は16,000rpmフルスケール、レッドゾーンも14,000rpmからの超高回転型スペックで、7,000rpmで中速トルクを引き出すハイパーチューンだった。
この好評だったパワーソースを使い、本来のカワサキGPZ路線へ戻し、もう少し広範囲な中庸イメージのシリーズを模索することとなった。
それがGPXシリーズで、250の他に400と750でも展開されることになった。
エンジンは62mm×41.2mmのショートストロークはそのままに、43ps→45ps/13,000rpmと2.4kgm→2.5kgm/11,000rpmへとさらなるハイチューンで、250ccクラスで2気筒ながらトップパフォーマンスを誇った。
しかもキャブレターに唐突なレスポンスを抑えつつ、右手の操作に従順で実質的なトラクションがすぐ引き出せるエア通路を設け、スポーツ性と馴染みやすさの両立をはかった。
フレームはエンジンを強度メンバーに利用するダイアモンド構成だが、パイプ径をステアリングヘッドまわりとメインパイプ、そしてサブフレームで必要に応じた強度を選択、リヤサスも路面追従性を優先したリンクを介し、全体にスタビリティに優れるスポーツツーリングを意識していた。
このスーパースポーツとは一線を画したGPXコンセプトは、ユーザーには違いがわかりにくい面はあったものの、そのカワサキらしい硬派なフォルムと、走りの確かさが噂になり、GPX250Rは時間を追う毎に人気が集まり、いつの間にかGPXシリーズでいちばんのトップセラーとなった。
250でフルカウルの人気はスーパーツアラーのZZ -Rへと転身!
GPX250Rの人気は、走りの良さから400ccクラスのユーザーまで獲得するようになり、海外展開ではそもそも需要の少ない250ccとして異例の人気で、国内向けには2色展開でスタートしたのを海外では様々なカラーリングが追加されていった。
国内でも翌年からフロントのブレーキディスクを2枚にしたRバージョンも追加された。
こうした250ccでもロングツーリングがイメージできる流れに、カワサキはZZ-R250を開発、さらに装備を充実させた上級クラスでの展開へと移行していったのはご存じのとおり。