honda_vf400f_20250418_main.jpg
このバイクに注目
HONDA
VF400F
1982~1985model

デビュー1年で直4を抜きトップセラーに駆け登った400初のV4!【このバイクに注目】

Photos:
HONDA

400で初のV4でもホンダ・ファンは躊躇なく殺到!

honda_vf400f_20250418_01

1982年12月にリリースされたVF400Fは、このクラスでは12,500rpmの未経験な超高回転域と0-400mを13.1secという俊足ぶりもさることながら、一番のインパクトはそのすべてに異次元フィーリングなハンドリングだった。
ちょうど1年前、CBX400Fがクラス最強のスーパースポーツで他を圧倒したその威力が消し飛んでしまうほど、乗っている車体を軽く感じ深いバンク角でも倒れ込むようなリスクを感じることなく、淡々と旋回し続けるパフォーマンスの整然さ加減に、唖然とさせられたからだ。
この真新しいV4ポテンシャルは瞬く間に広まり、初年度に直4のBX400Fを上回るクラストップの販売数というヒットぶりだった。

honda_vf400f_20250418_02
honda_vf400f_20250418_03

初の400cc90°V4は、55.0mm×42.0mmのショートストロークで399cc。53PS/11,500rpm、3.5kgm/9,500rpmで、ホイールベース1,415mmで完全なダブルクレードルのフレームで乾燥重量173kg。
前輪に世界GPからフィードバックされた前輪16インチの小径化、ホンダオリジナルのコムスターホイールに組み込まれたインボードディスク(効力とタッチで優位な鋳鉄ディスクが外見で真っ赤に表面が錆びるため)に、アンチノーズダイブのTRACやリヤサスのプロリンク等々、最新テクノロジーを満載したスーパースポーツだった。

honda_vf400f_20250418_04

デビュー当初、V4を経験したことのないライダーにとって、慣れ親しんできた直4の幅があるクランクシャフトがもたらす安定感とは違い、2気筒並みにスリムで軽快なV型4気筒の振る舞いに及び腰。
中速域のスロットル・レスポンスが鋭いだけでなく、従来のトルクが呼び出されるまでのラグのない燃焼効率で一気にトラクションを高めるポテンシャルに戸惑うばかりだったが、慣れるにつれ全日本F3クラスでワークスマシンが他を圧倒するのを横目で睨みながら、徐々にそのポテンシャルを開花させるライディングも浸透、噂が噂を呼び瞬く間に大ヒット作となったのだ。

honda_vf400f_20250418_05
honda_vf400f_20250418_06

HY戦争は既に真っ只中にあったとはいえ、まだレプリカブームのフルカウルばかりにはなっていなかったので、ミニカウルを装着していてもV4エンジンがよく見えてスリムさをスポイルしないよう絶妙に曲線を描くフレームなど、個性を強く放つ全体のデザインもホンダ・ファンを後押しする要素だった。
圧倒的に違う圧倒的なカッコよさに、多くが陶酔した……そんな独り舞台に近い人気を誇った。

honda_vf400f_20250418_07
honda_vf400f_20250418_08

そして雑誌広告には、堂々と直4(インライン4もしくは並列4気筒)vsV4の、同じホンダ社内での対立状況をアピールするという、いま考えると俄には理解し難い自信に満ちた姿勢を貫いていた。
そして実際、この開発2チームによる凌ぎを削る闘いが暫く続き、最大の敵はライバルメーカーではなくホンダ社内で、ここから数年の進化ぶりは後にも先にもこれほどではなかったと言いきれる凄まじさだったのだ。

honda_vf400f_20250418_09
honda_vf400f_20250418_10

しかし、いま見てもその佇まいにバランスの良さと、新鮮味に溢れたメカニズムの美しさが織り成すV4カルチャーは、歴史に残る見事さだろう。
そのあまりの完成度の高さに、1984年から追加されたフルカウルのINTEGRAにインパクトを感じさせないほどだった。

honda_vf400f_20250418_11
honda_vf400f_20250418_12

1982年3月に市販二輪車初の水冷V型4気筒、VF750 SAVREとクルーザーVG750 MAGNAをリリース、V型エンジンによる大攻勢をスタートしたホンダ。
次いでメジャーなカテゴリーの250ccクラスにV型2気筒VT250Fを1982年6月に発売開始。その僅か半年後の1982年12月に、VF400FとVF750Fのスーパースポーツを登場させるという矢継ぎ早にV4を投入する爆発的な勢いは、この時期バイクファンで過ごした人々から消えることのない衝撃としていまも語り継がれている。