ノーマルから100psアップ! トルクは1.7倍!
カワサキはニンジャH2やZH2、H2SXなどスーパーチャージャー搭載の市販車を販売。それはビッグバイクの中でも異色の存在として人気を博している。その魅力は何といっても圧倒的なパワー。
しかし、カワサキが市販車を投入する随分前からスーパーチャージャーの可能性に目をつけていたのが千葉のMSセーリングの代表を務める竹内義博さんだ。
竹内さんは新旧問わず、カワサキのメカチューンを得意とする。僕もずっとZRX1200R、ZRX1200DAEGを乗り継いできたが、1200RはZZR1200のピストンやカムシャフト、さらにヘッド面研を施し、後軸で170psを達成。DAEGでは大パワーよりも扱いやすさを追求し、ビッグスロットルボディとサブコンでのFIチューンを楽しんだ。
そのすべてのチューニングを手掛けてくれたのが竹内さんだった。
当時、僕はかなりZRXシリーズでサーキットを走っていたが、竹内さんに仕上げてもらったエンジンにトラブルが出たことは一度もない。
またチューニング以外でも最新バイクに関しては、サブコンなどを使用したFIチューニングを得意とする数少ないショップである。
メカメカしいエンジン。スーパーチャージャーはROTREX製。エンジンが9,000rpmの時にインペラは12万rpmで吸気を圧縮して送り込む。それを装着するために様々な工夫を施し、見た目にも迫力のあるエンジンに仕上がっている
圧倒的なスペック。ただ、乗りにくさはない
そんな竹内さんの新しい挑戦がZRX1200DAEG用のスーパーチャージャーで、それはついに200psを突破した。一般用は180ps前後にしたいというが、そのスペックのインパクトはとても大きい。
実際に試乗すると、回さなければとても扱いやすい。
スロットルを急開しなければ、その乗り味は平和。しかし、スロットルを大きく開けるとどこからでも怒涛の加速を見せる。フラットなトルク特性が生み出すパワー感はスーパーチャージャーならでは
高いギヤ、低中速を使いながらスロットルを大きく開けてみる。高いギヤを使っている時はとても乗りやすく、これなら普段使いも行けそうだ。誤解を恐れずにいうとチューニング感はなく、まるでノーマルのようにしっかりと調教されている。
ただ、ちょっと元気よくスロットルを開けると、「ドンッ」と強いトルクが一瞬でリヤタイヤに乗るような感覚がある。そしてそこから怒涛の加速を披露。ノーマルから100psアップはやはり半端じゃない! と思う間もなくハンドルを揺らしながら、ネイキッドのZRXには似合わない、力強い加速を見せる。DAEGにしがみつきながらそれでもスロットルを開けていると、7,000〜8,000rpmでフロントが浮いてくる。
なんというバイクだろう……。
「パワー出てるなぁ〜」そんなフィーリングが全身に伝わってくる。下のグラフをそのままに体感できる加速はメカチューンでは体感できないフィーリング。リリーフバルブから「プシュー」と加速の度に過剰な過給圧が開放される。
全域で大幅なパワー&トルクアップしているのがよくわかる。低中速からスロットルを大きく開けると(公道では無理)怒涛の加速を披露。ただ、普通に市街地を走ることも可能で、そこは竹内さんのFIチューンのうまさが光る
まだまだZRXを楽しみたい! そんな方におすすめしたい
「エンジンはローコンプ用のベースパッキンを作ったりしましたが、この仕様では完全にノーマルです。マージンを考えると180psくらいが現実的ですかね。認証マフラーを使用すれば車検も問題ありません」と竹内さん。
気になる価格は、ベース車両持ち込みで(車両の状態による)、150万円くらいから製作が可能。
スーパーチャージャーを搭載して、ZRX1200DAEGを次のステージに引き上げてみてはいかがだろう。
鉄フレームに並列4気筒エンジンを搭載。サスペンションは正立フォークに2本サスの組み合わせ。このオーソドックスなスタイルにスーパーチャージャーのギャップがたまらない。マフラーやスイングアームはケイファクトリー製だ
MSセーリング
千葉はもちろん都内や北関東からアクセスの良い、千葉県市川市南八幡のショップ。カワサキ車に強く、往年のZ系からGPZ900R、ZRX1100&1200系まで幅広く手掛け、エンジンや燃調、電気系などのヘビーチューンにも強い。店舗とは別のガレージにシャシーダイナモを完備し、FIやキャブのセッティングにも定評がある。また、元世界GPチャンピオンの原田哲也さんを擁してイベントレースにも参戦。レーサー制作なども手がけている