スタイルからは想像もつかない走りの良さが光る!
昨年の2023 EICMA(ミラノショー)で、カスタムのベースモデルという位置づけで参考出品されていたSHOTGUN(ショットガン)650が、いよいよ日本へも8月31日からデリバリーされることになる。
これに先立ち国内メディア向け発表試乗会があり、ワインディングでの試乗ができたので早速ご報告!
この650シリーズには、スーパーメテオというクルーザースタイルのモデルが既に発売されていて、これが両足を前に投げ出して淡々とクルーズするフォルムのカテゴリーながら、何とワインディングでも右に左にコーナリングを楽しめるバイクという望外なキャラクターに感涙していた。
新しいショットガンも、車体はスーパーメテオと基本的に共通。悪かろうワケがないと期待して峠道へと分け入ったが、いやはやその痛快さといったらなかった。
まず左右へのリーンで、20~30°のバンク角でありがちな重さの手応えに変化がない。前輪の曲がり方への追従も変わらず、安心感に包まれた旋回がはじまるのだ。
一般的なネイキッドスポーツと比べると、ややステップが前寄りに位置するもののスーパーメテオのようなフォワードタイプではなく、この微妙な位置の関係で両足が自然に踏ん張らない状態におかれる。そしてシートに座ったお尻のポジションが、後輪を軸に曲がっていく同社のGT650やINT650に準じた英国正統派の操縦術にハマるライディングへと導いてくれるのだ。
前輪18インチに後輪17インチとなった組み合わせは、もちろんスーパースポーツのような軽快さはないが、リーンのアクションの手応えが一定であるように、落ち着いた安定感をベースに身を委ねて安心できる動きでス~ッとコーナーへ吸い込まれる心地良さ。
ただバンク角は元々深くは設定してないので、どうかするとすぐジャッと接地してしまうため勢いづかないよう自制する必要がある。安全マージンのためには、これくらいのアベレージで走るようにとのアラートと受け止めさせる意図を感じる。
さらにスーパーメテオでも目を見張らせた下りコーナーの安心感は、同じSHOWAの倒立フォーク(カートリッジ型SFF-BP)のメリットでかなりラフな路面でも前輪のグリップ負荷が変わらない感触で何の心配もせずに済む。
小さく曲がり込んだターンでも、前後輪が一緒にクルリと旋回してくれる心地よさ。これは楽しい!
エンジンはINT650、GT650に搭載されてきた空冷OHC4バルブの648cc、スーパーメテオ 650で規制対応などを経た仕様で、最高出力34.6kW(47PS)/7,250rpm、最大トルク52.3Nm/5,650rpm。
クランクの下死点から上死点までのピストンとコンロッドが上昇する行程で、路面を蹴るのに有効トルクのチカラ強さが、ロイヤルエンフィールドの伝統的なエンジン哲学。
まさにこうした特性のままに、コーナー立ち上がりをグイグイと後輪が路面を掴み曲がり続ける醍醐味が味わえる。
それとワインディングで矢継ぎ早にシフトするシーンで、改良が施されたに違いないギヤチェンジで小さなストロークでカチッときまるシフトフィーリングは絶品。歴代の650系をテストしてきた身として、益々良くなっていく熟成に心が緩みっぱなしだ。
さらにロイヤルエンフィールドでは350系からどれも同じなのだが、ブレーキホースでゴム管を使わないレース用の仕様が加圧で膨らまないため、コントローラブルなタッチが日本車を凌ぐハンドリングの上質さを強めているのにあらためて感心させられる。
リヤシートの脱着にカスタムベースの感性が伝わる!
ショットガンは、コンセプトにカスタムされる前提のデザインということで、オリジナルのモデルはシングルシート仕様なのだが、日本ではこのままだと2人乗りができない登録となってしまうため、最初からタンデムシートが加えられた状態でデリバリーされる。
ただご覧のようにタンデムシートは、専用のサブフレームごと装着されていて、しかもタンデムシート座面にあるキーでシートだけワンタッチで脱着が可能。
取り外した下には簡単な荷台が現れ、ツーリングのラゲージなど積載しやすい状態となる。
といった按配に、バンパーやホイールなど様々な交換パーツが用意され、純正パーツでも自分好みにかなりのカスタマイズが楽しめるようになっている。
ショットガンはオートバイ乗りの心に宿る、生きたカルチャーとしてカスタムへと突き動かされる胎動のようなモノ……こうしたカスタマイズでライダーひとりひとりが思い描く個性へと近づける、より心模様を感じられるベーシックなバイクを標榜しているのだ。
それを社内で伝える目的で、プロジェクトの立役者のひとりでデザイナーの経験を積んだ、スーパーメテオの試乗でも我がYouTubeでインタビューに応えてくれたエイドリアン・セラー氏が、ご覧のイラストを自筆しているのにも驚かされる。
理解度に差のある説明より、こうした感性に訴えるほうがスムーズにコトが運ぶからだそうだ。
650というヨーロッパやアメリカで人気の中心となっているカテゴリーは、使い勝手が良く扱える範囲でライディングを楽しめる現実的なキャラクターで益々需要が高まっている。
リッターバイクや超アグレッシブなスーパースポーツからダウンサイズを考えているライダーにも、その優れたドライバビリティから満足できるレベルにあるバイクだ。
価格はロイヤルエンフィールドの常で、車体のカラーリングによってそれぞれ僅かに設定が異なる。
SHOTGUN 650 Base(車体色はSheet Metal Grey)は97万4,600円、SHOTGUN 650 Mid(車体色はDrill Green/Plasma Blue)が99万5,500円、そしてSHOTGUN 650 Premium(車体色はStencil White)が101万5,300円(すべて税込み)となっている。
まずは試乗なさって、この諸々の質が違うショットガンならではの楽しめる感性を、ご自分で確かめられるよう強くお奨めしておきたい。
SPEC
- 最大トルク
- 52.3Nm/5,650rpm
- 変速機
- 6速
- フレーム
- スチール鋼管ダブルクレードル
- 車両重量
- 240kg
- サスペンション
- F=テレスコピック倒立
R=スイングアーム+2本サス - タイヤサイズ
- F=100/90-18 R=150/70R17
- 全長/全幅/全高
- 2,170/820/1,105mm
- 燃料タンク容量
- 13.8L
- 価格
SHOTGUN 650 Base(Sheet Metal Grey):97万4,600円
SHOTGUN 650 Mid(Drill Green/Plasma Blue):99万5,500円
SHOTGUN 650 Premium(Stencil White):101万5,300円(すべて税込み)