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Q.ブレーキでお尻が前に滑るのはどうやって止められますか?【教えてネモケン154】

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カーブの前で減速するとき、ブレーキングした途端に減速Gでお尻が燃料タンクに当るまでシートの上を滑ってしまいリーン操作がしにくい姿勢に陥ります。ハンドルで突っ張ったりすると曲がらなくなるし、下半身でギュッとホールドするとバイクが安定しません……何か良い方策はありませんか?

A.実は力まずにやんわりホールドするのが一番すべりにくくなります。またフロントブレーキの操作でショックを伴わないレバー操作ができればお尻が前に滑ることもなくなります。

皮膚の表面がちょっとズレる感じを残したホールドがいちばん滑りにくい状態をつくります!

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減速Gで腰が燃料タンクに当るまでシートの上を滑ってしまうのは、履いているボトムスがGパンのように表面が滑りやすい生地だと、どうしても起きやすくなるのでライディングギヤの着用をまずお奨めします。
そして前に滑らない対策は、とにかく力まないこと。
滑らないようにとニーグリップを強めたりすると、シート座面に接する太ももの筋肉が力んで緊張し、座面との接触が面ではなくいくつかの点で接する状態に陥り、却って滑りやすくなってしまうからです。
もちろん上半身でハンドルを押すような入力で耐えると、リーンしても前輪がセルフステア機能を妨げられ思うように曲がりません。
一番のコツはシート座面に接する太ももを、皮膚の表面がちょっとズレる撓み(たわみ)が生じる感じ、大きな平たい表面を手で滑らないよう触れるときと同じ面圧で接すると、何と驚くほどグリップします。
試しに誰かに背中を後ろから押してもらい、両太ももに力を込めニーグリップしたときと、ジワッとシート座面に体重をあずけながら皮膚が前後にズレるくらいで接しているケースを較べてみてください。

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またもう少しスポーティにライディングするなら、次のコーナーが左ならお尻の片方のほっぺひとつ分だけ左へスライドさせ、アウト側つまり右の太ももだけシート座面でより大きな面積で接するので、同じ要領でジワッとホールドします。
さらにアウト側ステップに載せたブーツの土踏まずで軽く前の方へ蹴る感じにして、膝で太ももをシートの後ろへやんわり押します。
こうすることで、かなり強いブレーキングでも減速Gに負けることなく、下半身のホールドができるようになります。
サーキット走行とかでは安定した進入ができるのでお奨めのポーズです。

ブレーキレバーの操作で制動がはじまる瞬間のショックをなくしても腰が前に滑らない状態にできます!

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それともうひとつ、大事なブレーキレバーの操作で、ブレーキのかかりはじめにショックを誘発していないかを確認しましょう。
ブレーキレバーのストロークの最初の部分には、実際にマスターシリンダーで油圧がブレーキディスクを鋏んで減速するまでに、遊びと呼ばれる何も入力していない動きの部分があります。
これを素早く握ると、どんなにやんわりと強くないかけ方であろうと、カツンと初期ショックを与えてしまい、その反動でフロントフォークが深く沈みます。
フロントフォークで前まわりを支えているスプリングは、400〜750ccのバイクだとバネレートで1.0kgf/mmあたりのとても柔らかい設定になっています。
2本サスのリヤショックのスプリングが3.0kgf/mmより強いのが一般的なので、3〜4倍は硬い設定であるのに比較すると、如何に柔らかいかがわかります。
なぜそんなに柔らかく設定しているかといえば、バイクが曲がるとき前輪が路面の凸凹に追従できないと、前輪が外側に逃げたり下手をすると滑って転んでしまうからです。
そのため柔らかいバネにプリロード圧縮して、車重の分布荷重に釣り合うストローク位置を得ておき、弱いバネレートなので僅かな荷重差にもすぐ順応して、路面が凹んでいてもすぐ追従する機能が働きます。
そんな弱々しいスプリングなので、ブレーキをかける初期にショックがあれば一気に沈む「前のめり」もしくはノーズダイブ状態に陥るワケで、この初期ショックを生まないレバーの遊び部分の操作がキモなのです。
それには親指のつけ根を支点に、4本の指でワシ掴みする操作はご法度。
親指のつけ根だと両方から挟む入力になるため、この初期ストロークでデリケートな操作ができないからです。
支点を小指と薬指の外側2本のつけ根を上から押すようにして支点をつくり、人差し指と中指をお互いをくっつけた状態でレバーへ滑り込ませるように引き込むと、最初のショックを生じない操作ができます。

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上のイラストにあるように、手首全体を使った滑りこませ方をイメージして、繰り返しこの要領で操作する感触を覚え込ませましょう。
何だか強くかけられない、そんな不安を感じるようなら、右端の外側2本指を強くグリップへ押し付け、そこの支点と内側2本指とでこの距離を縮める入力であるのを手の感触に刷り込みます。
慣れてくるとブレーキがかかりはじめるストローク位置がわかり、そこから「入力」が意識できて、ショックもなく強弱のコントロールが自在にできるブレーキ入力が可能です。
そしてこの前のめりが少ないブレーキングは、シートの上をお尻が前に滑ってしまうことがほとんどない状態にできるのです。
詳しくはYouTubeの「ライドレクチャー」で実際の動きもご覧になれるので、チェック(#112ブレーキ操作のレクチャー実践)されるようお奨めします。


▶︎▶︎▶︎「ブレーキ操作のレクチャー実践―フロント篇―」|RIDE LECTURE 112|RIDE HI

Photos:
藤原 らんか