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Q.怖がりはどうやって払拭できますか?【教えてネモケン144】

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その昔、乗りはじめてすぐに停車寸前で立ちゴケし、得体の知れない怖さと警戒心が長く続きました。そして最近、カーブで曲がりきれないとブレーキをかけたものの、ガードレールに擦りながら止まる恐ろしい目に遭いました。それでもバイクは乗り続けたいのですが「怖がり」を払拭できるライテクとかありませんか?

A. 怖がりでいることは、身を守る上で大事な基本です。その上で安心できる状態に身を置いて、楽しいと思えるライディングを工夫していきましょう。

慣れるのを待っているより、安心できる状態を積み上げていく。

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とにかくビビリーなんです……だからオートバイを意のままに操るなんて、夢のまた夢。
怖がりだから、上達へのチャレンジなんてムリ!なんて仰る方が意外に多かったりします。

でも何かあったらコケるリスクを伴うのがバイク。
それでも走り出すと車体が自立して、颯爽と風を切る心地よさに「おっかない」とか言いながらニコニコ顔……どんなライダーも入り口は同じようなモノだったと思います。

で、まずは「ビビリー」だからダメと思われている方にひと言。
そうした警戒心は基本的に大事です。これがなかったら、あり得ない無茶を冒して命がいくつあっても足りません。

でも自分は怖いと感じるカーブが続くようなトコロで、平然と楽しそうに駆け抜けていくライダーもいる、あの人たちのように怖くない気持ちで走りたい、それにはどうしたら……。

そうした「怖い」と「怖くない」は、たとえば40km/hが限界!と思っていたのが、60km/hでもうちょっとイケるかも、と変わっていくのと同じで、まず慣れが必要です。

ただお話くださったように、何かアクシデントがあって、そこに恐怖心が根づくと振り出しに戻ってしまいがちです。
そんな懲りた状態だと、ただ「慣れる」のを待っても時間がかかるばかり。
そこで、どうやって安心できる気持ちを積み上げていくのか、バイクに操り方とサスペンションの設定などバイクを馴染みやすくする方法を伝授しましょう。

そうっと操作するのは、却って警戒心を煽るので逆効果!

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どうなるのか心配で、怖々スロットルを開ける(捻る)とき、当然そうっとさぐるように、ゆっくり少しずつ開けてゆきます。
しかし、このどこから加速するのか、反応がはじまるトコロをさぐっている状態は、いつはじまるのかに対し警戒する気持ちを強めます。

これは加速がはじまった瞬間に、ちょっとだけビックリしがちで、そう感じれば感じるほどに警戒心は強まる悪循環に陥ります。
ではどうすれば良いのかというと、エンジンのアイドリングよりちょっとだけ上の、2,000rpmとか低い回転域で、そうっとさぐらずに、むしろ素早く大きめに捻って、自分の意思で加速させる操作にしてしまうのです。

一定のタイムラグを生じる、開けて待つ!操作で
まずは安心感を積み上げる。

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エンジンには低い回転域だと加速まで一定のタイムラグ、つまり遅れが生じる特性があります。
つまり低い回転域であれば、グイッと素早く明確に捻っても、加速がはじまるのを待つことになります。

慣れるまではローギヤなどの発進時ではなく、一定の速度になってから4速とか5速の高めのギヤで、2,000rpmからスロットルを1/4もしくは1/3まで徐々にではなくサクッと捻ってみましょう。
すると加速がはじまるまで、ひと呼吸あってそれからジワッと穏やかに加速します。

これをなんべんも繰り返すと、ご自分で捻った操作にエンジンがいきなりではなく、常に穏やかに反応することがわかってきます。
安心できる穏やかな反応で、しかも受け身ではなく自分の意図する操作に反応している……これが愛車との距離を縮める第一歩になるはず。

慣れてくると発進から素早くシフトアップを繰り返し、この安心な領域で走る心地よさが身につきます。
安心のための素早いシフトアップ操作は、RIDE HI で検索されるとすぐ見つかります。

そして次に大事なのが減速です。
ただブレーキングは操作が難しく、正しく理解するには「教えてネモケン140」を検索して、詳しい解説をご覧になり、時間をかけて徐々にステップアップしてください。

サスペンションの減衰力を弱めると、尖った警戒心に繋がる反応が伝わらない。

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次に今回の相談者の方のように、怖がる気持ちが半ばトラウマに陥ってしまったケースでは、ライディングの操作だけではなく、乗るバイクのほうもサスペンションを調整することで、愛車を身近に感じられるようにしていくのも効果があります。

それはサスペンションのスプリングのプリロードといって、2人乗りなど高い荷重に対しセットを変えられる部分を最弱の位置まで下げ、サスペンションのストロークを少しでも増やそうという方法です。

次にダンパーといって、サスペンションの筒にある減衰力を発生する装置で、この伸び側を弱めて全体にやんわりと大きく動作する設定にします。

こうすると車体の動きで、路面の状況など細かな情報が伝わりにくくなり、何となくという気持ちで走れる状況が得やすくなります。
またバイクの鈍感力はアップしますが、タイヤの路面追従性などは繊細に稼働して、ラフに扱わないかぎり安定性も向上します。
さらにジェントルにライディングされるライダーには、難しく言うとバネ下とバネ上との結びつきが弱まり、重心とアライメントとの関係も曖昧になることから、リーンなど車体操作が軽く感じられる乗りやすさもアップするはずです。

といった按配に、スポーツバイクは一般道路でジェントルに乗る状況では、ハードにライディングする場合に備えた設定のため、動きを抑えすぎる傾向にあります。
これは警戒心や疑心暗鬼な気持ちを、刺激こそすれ和らげたりはしてくれません。

このように、やんわりジンワリでライダーが馴染みやすい状況をつくり、安心できる環境を積み重ねながら、良い意味で慣れていくことが大切です。

ついでに付け加えておくと、レースをするようなプロライダーでも、スランプに陥ってからのリカバーは、このようにタイムラグを生じるセッティングとして、さぐるようなライディングではなく、安心の上に操作を重ねていくメソッドを採り入れます。
人間の感性はかくも繊細で、蛮勇で乗り越えられるものではないのを、プロは嫌というほど知り尽くしているからです。

Photos:
Shutterstock(stockphoto mania / roibu)