A.気温が下がると、走り始めた直後には馴染む時間が必要で慎重になります
何が怖いというわけではないのですが……
こういう不安は私だけなのでしょうか?
これは解消できることなのでしょうか?
バイクも人間も暖気が必要です!
その感じ、分かります。バイクに乗りはじめてすぐの頃は、冬の寒さで愛車も触れると金属の冷たさが伝わり、いつ突き放されるか分からない知らん顔をされているような気分になってました。
ま、これはボク個人の勝手な思い込みだったので、そういうコトではなくて……でしたらゴメンナサイ。
いずれにしても、どう感じるかは様々として、動きはじめてすぐのバイクはエンジンも暖機が必要ですし、サスペンションもダンパーオイルが低温で硬めな動きとなります。
ディスクブレーキもパッドがローターに接触して効力と比例する温度上昇に時間がかかるなど、すべてに扱いやすさやしなやかさが欠けた状態であることは確かです。
そこを不安に思うのは、むしろ当然といえるワケで悩む必要などまったくありません。なので、そのときの気温にもよるでしょうが、走り出してしばらくはエンジンが温まっても、サスペンションやブレーキに反応が遅いなど違和感のある状態が続きます。
人間、思ったときに思い通りの反応が得られないと、不安が募るばかりですから、そんな気持ちに陥らないよう慎重でいたほうが無難です。
意識してタイヤを温めましょう
それと何よりタイヤが温まりません。タイヤのゴムという素材は、一定以上の温度にならないと柔らかくなりません。低温の硬いままでは、路面追従性もグリップも極端に低く、驚くほど呆気なく滑ります。
とくに冬場は、たとえ路面に接しているトレッド部分が凹んだり戻ったりを繰り返し、揉まれることで温度上昇を伴っても、走行しているだけですぐ冷えてしまうので、ハイグリップタイヤ装着車ほどムリは禁物です。
これがツーリングタイヤであれば、温度依存の少なく低温でもゴムのしなやかさを保てるコンパウンドが開発されているので、少しでも安全マージンをと思う方は最新ツーリングスポーツに履き替えておくと安心感が違います。
寒いとどうしても身体に無駄な力が入ってしまいますね
そして最も大事なのが、ライダーの防寒です。若干でも汗をかくと低温だと身体を冷やしてしまうコットンの類は着用せず、空気の層をつくるミドルレイヤーを内側に着用し、いちばん外のアウターレイヤーは空気を通さないインナーとセットになっているような組合せがベストです。
あまり厚手なものは暖かそうでも身体を締めつけて血行を妨げ、これが冷えにも繋がります。
グローブも内側が起毛したタイプが一見暖かそうですが、これもグリップを握った状態だと指への血行を妨げ、意外に汗をかく手の平から冷え込んでしまうことなど、できれば薄手のインナーを内側へはめて、しなやかな皮革製をアウターとしたコンビネーションがお奨めです。
まぁ、決定的なコトを言ってしまえば、グリップヒーターを奢りましょう。これさえあれば、グローブは手の甲に風を通しにくい素材であれば操作のしやすい薄手でOKですし、実は冬場でなくても高度のある山を走ってちょっと冷え込んだときも助かります。
またジャケットやパンツ、それにソックスにも電熱ヒーター付もありますし、シート側にもヒーターを装備するツーリングモデルも存在します。
身体が寒さで縮こまっていると、気持ちだけでなく操作のレスポンスも鈍くなります。何より寒さに耐えている状態で走る辛さなど、バイクを楽しむ意味では何のプラスにもなりません。
ボクも若いときは、厚着はカッコ悪いと伊達の薄着で通してた旧い世代ですが、冬もバイクを楽しむならそこにコストをかけらましょう。
コタツや暖房を装備しながら走るこの感覚、一度導入してしまえば、なんでもっと早く……と思うはず。
「暖かいゾ~」と周囲を羨ましがらせましょう。
走り始めはすべての動きが鈍い状態
気温が極端に低い時など、なんとも言えない違和感がある……これは誰もが感じること。身体はもちろん、エンジンオイルやサスペンション、タイヤなどすべてにしなやかさが欠けているから。各部が動くようになるまで慎重に!
タイヤは温まりにくく冷めやすい冬は意識してタイヤを温めよう
冷えたタイヤは本来の性能を発揮できない。早朝や気温の低い山間部などで、走り始めにいきなり大きくスロットルを開ければ、簡単にグリップを失う。昼食などの休憩後にも注意しよう
大人ならグリップヒーターや電熱ウエアを迷わずチョイス
寒さでふるえながら走る状態を回避するとかなり気分的に変わるはず。我慢せず、電熱ウエアやグリップヒーターなどを奢って、快適なライディングを楽しみたい
- Words:
- 根本 健
- Photos:
- 真弓悟史