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このバイクに注目
SUZUKI
RGV250Γ(VJ22A)
1990~1995model

2本出しRGV250Γ(VJ22A)がロードゴーイングの条件では傑出した完成度!【このバイクに注目】

Photos:
スズキ

90°Vツインの熟成と車体の剛性バランス調整で路面のグリップ感が半端なく頼もしいコーナーリングが楽しめた!

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1983年、レーシングマシンのレプリカブームへとエスカレートさせたのは、衝撃のアルミフレームにレーシングマシンのフォルムを纏ったスズキRG250Γ。
車名に世界GPワークスマシンの称号だったΓ(ガンマ)を冠した、いわばファンの夢を叶えたマシンで、2スト250はレーシングマシンへ如何に近づけるか競争へとひた走った。
ライバルから次々とレプリカ路線のNewマシンがリリースされたが、スズキはこれに対抗して1988年に並列2気筒からV型2気筒エンジンへと変えた新世代をデビューさせたのだ。
クランクケース・リードバルブ吸気のNewエンジンは、シリンダー配置を90°Vツインとすることでシリンダー外側の掃気ポート干渉を避け大幅にスリム化。
前バンクの気筒を20°下へ向けエンジンの低重心化をはかり、ボア×ストロークを56×50.6mmとショート・ストロークに設定、排気ポートには2分割した円筒が動作するAETCがサーボモーターで駆動され、キャブレターも32φと大口径でピストンを半円柱のスリングショットとするなど様々なデバイスを装備していた。

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このRGV250Γ(VJ21A)は、ライバルの2スト・レプリカがひたすら本物のレーシングマシンにハンドリングを近づけた軽快で鋭いキャラクターだったのに対し、ツインスパーフレームを110mm×30mmと250ccには思えないサイズのアルミ押し出し材で、内部にリブの入ったデュアルセル(ふたつの空間)構造として、いかにも高剛性で250ccと思えない安定感のある旋回をみせていた。
そのRGV250Γが1990年モデル(VJ22A)で、マフラーのサイレンサーを右側へまとめて2本出しとするマイナーチェンジをうけた。
このためスイングアームを右側で湾曲させ、イメージがよりレーシーな雰囲気を湛えていたが、実はさらにサーキット勝負ではないロードゴーイング側での熟成を大幅にはかっていたのだ。
仕様的に倒立フォークを装備、後輪も17インチ化とライバルと肩を並べるスペック。
しかしライディング・ポジションでシート高を上げ、ハンドルを手前に引きステップ位置も前寄りへ変更するなど、まるでチャンピオンのケビン・シュワンツ好みに合わせたような変貌ぶりだ。
果たして乗ってみると、フィーリングはさらに500ccのGPマシンに近く、250ccレーシングマシンの鋭く軽やかなハンドリングとは一線を画していた。

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ツインスパーフレームは見た目にほぼ変わっていないが、剛性バランスはしなやかさとを両立させライダーの感性への馴染みやすさをアップ。
エンジンもシリンダーのボロンメッキとしたり、キャブレターのエア系を電子制御とAETC(排気バルブ)を3段階で変位するなど、主にスロットル操作に神経を遣わずともグイグイと開けられる大型バイク的なトルキーな力強さだ。
ミッションもGPマシン仕様のカセット構造で、レース出場を睨んだSPモデル用に乾式クラッチも開発された。
何れにせよ、サーキットを限界まで詰めて攻めるライディングを前提とせず、一般公道のワインディングで自由度のあるダイナミックなライディングを楽しめる設定なのには驚かされた。
たとえばメーターパネルを、敢えてハンドル・マウントとしていて、これは高剛性となったフロントまわりがギャップを通過した際、前輪が左右に振られる現象を少しでも抑える減衰効果を狙ってのこと。
ここまでワインディングに対して神経を配った設定は、そう滅多にあるものではない。

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またスズキのレプリカ路線はファンを惹きつけるスポンサーカラーを纏ったスペシャルな仕様がユーザーから注目を集めていた。
RGV250Γでも世界GPの500ccクラスで孤軍奮闘のケビン・シュワンツ選手が駆るラッキーストライクのカラーリングが追加され、熱きファンたちが痺れていたのはいうまでもない。

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その後、エスカレートの一途を辿った250cc2スト・レプリカも徐々に沈化、各社からNewモデルがリリースされる気配もなくなっていたが、闘いの渦中にあったスズキの開発陣営には既に次の一手があり、多くのニーズは望めないものの進化したそのパフォーマンスは知ってもらいたいと手を緩めず、1996年にバンク角を70°としたVツインの新エンジンを投入、レプリカ終焉期も国内ワークス参戦しながら新進気鋭のマシンをリリースすることになった。
何とこの最終段階で、250ccレーシングマシンとを同時開発するのは最初にして最後ということになったのだ。