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このバイクに注目
SUZUKI
GSX250S KATANA
1991model

GSX1100S KATANAの11年後に250でKATANAを新設計したスズキの志しとは?【このバイクに注目】

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スズキ

不朽の名車KATANAのレプリカで、尖ってないスポーツモデルをリリース!

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スズキといえばKATANA……国産4メーカーが揃ってビッグバイクへチャレンジして肩を並べた1970年代を過ぎて、スズキはスペック勝負ではなくスズキならではの独創性を追い求め、KATANAのプロジェクトでどこにもない個性をアピール、1980年代に他のメーカーとの違いを見せつけた。
そのKATANAの250cc版を、スズキ何と11年後にリリース。
KATANAのネームバリューに頼らなければならないほど、スズキが販売不振に陥っているでもなく、多くのファンは首をかしげた。

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当時のスズキには、250ccオンロードスポーツとして2ストのRG250Γから4スト4気筒ではGSX-R250Rのレプリカ、ツーリングや普段使いに特化した燃料タンクがトランク・スペースのACROSS、そして個性的でお洒落なネイキッドのBANDITと、豊富にラインナップが揃えられていた。
これだけワイドに対応しても、スズキにはバイクのスポーツ性とライフスタイルに溶け込みながら、他にないオリジナリティと高い趣味性のスポーツバイクを模索していたのだ。
そしてひとつのきっかけが、BANDITの開発でテストコースではなく一般公道でのつくり込みを重ねるうちに、企画段階から一般公道を走りだし高速走行などテストコースは後から検証しようという手順へスイッチしたのだという。
その第一弾がこのGSX250S KATANAだった。

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エンジンはバンディット250をベースに、カムプロファイルから吸排気ポートを小径化、何とバルブ径まで小径化してクランクマスも10%増やす徹底した低中速狙い。
水冷4気筒DOHC16バルブは、49.0mm×33.0mmの248ccから、スペック表示は最高出力は40ps/13500pmと2.7kgm/10,000rpmだが、発進から4気筒と思えないイージースタートで一般公道で開発しただけあって市街地の乗りやすさは群を抜いていた。
そしてKATANAフォルムとすることで、バイク好きならこだわりの強さを好むと信じ、フレームから専用のダブルクレードルでハンドリングが前傾セパレートハンドルに相応しい走り屋ライダー向けの高い完成度を追究している。

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しかもKATANAが一世を風靡したインパクトあるフィオルムを、ただスケールダウンしたのでは見た目にバランスが悪く、バイクに詳しくないデザイナーがつくったように思われてしまうリスクも重々わかっていて、GSX1100Sのデザイナーであるハンス・ムートに許しを得て、独得なスケール配分で250サイズでも違和感のないフォルムとしているのだ。
実はメーターパメルは刻印した数字は違えど(レッドゾーンは17,000rpm!)同じものを流用、バックミラーやステップなども共通パーツ。

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さらに1992年モデルでは、オリジナルにもあったレッドを基調としたグラフィックのモデルもラインナップ。
フロントフォークのインナーパイプはφ37mmなのだが、肉厚を250用に2.5mmで開発していたが、大人の走りを感じてもらいたいと肉厚3.5mmとする気の配りようだ。
ホイールベース1,435mmでスイングアーム長580mmはBANDIT250と同サイズだが、リヤサスのグレードなどコストはKATANAのほうがかかっていた。
実はこの後にGSX400S KATANAも登場するのだが、シリンダーの前傾角や高さをKATANAに見せるため、ボア×ストロークも変更したほどの懲りようで、スズキの開発陣の半端ないこだわりは果てしなく続いていくのだった。

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かくして250、400、そして1100とKATANAはあらためて国内向けにラインナップされ、GSX1100Sは最終の2000年モデルまで生産されることになった。
因みにGSX250S KATANAとGSX400S KATANAも、共に1998年まで生産されたほどの人気車種だった。