国内向けSV400はマイナーだったが、ヨーロッパでSV650はGLADIUSの車名と共にロングランの人気モデルに!

スズキSV650といえば、いまもカタログに新車として残る超ロングラン・モデル。400ccクラス以上の日本車では、最も成功したVツイン。
そもそもスズキのVツインスポーツは、1997年に1000ccスーパースポーツ、TL1000Sを投入したのがルーツ。
さらに1998年、中型400ccクラスにも、DOHC90°のVツインSV400と、ハーフカウルのSV400Sを発売。
輸出用にはSV650とSV650Sが兄弟車として開発されていて、国内向けがSV400もSも鳴かず飛ばず状態だったのに対し、ヨーロッパのミドルクラスで主流となると睨んだ狙いが的中したのだ!

当初は日本製Vツインへのイメージが弱かったせいか、需要の多いこのクラスでも話題になりにくかったが、乾燥で165kgしかない軽量さと、スリムなVツインと絶妙なアライメント設定による秀逸なハンドリングの評価が広まるにつれ、SV650はスズキの主要機種へと成長を遂げていくのだった。



そして2009年、キャブレターを燃料噴射のインジェクション仕様として、フレームもアルミのトレスデザインからパイプの純トラス構造とアルミ鋳造ピボットとを融合させた新デザインでGLADIUSのニックネームも与えられた。


ボア81mm×ストローク62.6mmのVツインは、デビュー時は72ps/8.400rpm、64Nm/6,400rpm(国内向けGLADIUSは72×49mmで55ps/11000rpmと41Nm/8,500rpm)。各気筒の点火プラグを2本ずつ配した設計で、ツインの瞬発力を感じさせるレスポンスと、扱いやすくコーナーでのトラクションを楽しめるトルキーなエンジン特性で評価が高かった。

ヨーロッパのミドルクラスはビッグバイクとは用途やオーナーのライフスタイルも異なり、カテゴリーとして区別されたコンセプトが好まれるという傾向を掴み、これを機に独自の進化を遂げていくことになる。
ヨーロッパのトラディショナルな街並みに合うデザインを採り入れ、人気の出てきたSV650はGLADIUS(古代ローマ帝国で剣闘士が使う刀剣を意味した)の車名を前面に出し、認知度を広めていった。

そしてSV650はGLADIUSとしてのコンセプトを終了、ツーリングの用途をアドベンチャー系へと拡げたバリエーションを加える進化がはじまった。
またロードスポーツのほうは、よりピュアなネイキッド・スポートとしてブラッシュアップされ、現在に至る改良が加えられてきている。

こうしてトラッド且つ機能美を際立たせ、650Vツインは熟成モデルならではの巧みな意匠変更も効果的で、20年を遥かに越えたモデルとは思わせない新鮮味をキープしているのはさすがというほかない。