どうしても手前ばかり見てしまう
キャリアが浅いと視線は前輪のすぐ前ばかりになりがち。
でも近くを見るほど危険を見落としがちだったりする。
バイクに不慣れだと、走り出すと視線が前輪のすぐ前、下のほうに落ちてしまいがちだ。しかし、あまりに至近ばかり見ていると、前方のクルマやバスのブレーキランプを見落とすなど、危険察知が遅れてしまう可能性もある。
またキャリアを積んだライダーでも、カーブが連なるワインディングを走るとき、先のコーナーの様子を見極めるのに、近くばかり見ていないで遠くを見るように、先輩から注意やアドバイスをうけたこともあるだろう。
この近くのすぐ下ばかり見てしまうのは、自信がなかったり不安が多かったりすると、まず目の前から先に気になるのでムリもないことなのだが、それこそ前車の車線変更を見落としで追突しそうになったり、慌ててカーブの前で急ブレーキをかけたりと、かえってリスクを増やしてしまうことが少なくない。
そしてこれが一番問題なのだが、何かを見つめるとき意識せずともやっている視線の焦点を合わせる行為が、奥から手前に流れてくる路面の上をひっきりなしに上下動を繰り返してしまうことになる。
この上下動の往復で、至近からちょっと遠くへ視線をズラすそのちょっとした間とはいえ、およそ10メートルくらいは見えてないも同然。ドキドキしながら路面を注視していたのに、小さな凹みを見逃してゴツン!と衝撃にビックリしたこともあるに違いない。
ではどうすれば遠くを見ながら走れるようになるのだろう。
タイヤの少し先あたりに視線が言ってしまいがちだが、もっと遠くを見るように心がけてみよう
焦点を合わせず、広い範囲を眺めながら
みえている景色を認識する感覚を身につけよう。
まずやらなければならないのが、流れる路面を見て焦点が上下するのをやめること。視線の先に焦点を結ばず、前方を漠然と眺めながら、その景色の中に道路にある段差や小さな穴など、状況を認識しながら走る感覚を身につけていくのだ。
いきなり言われても、どうすれば良いのか戸惑うばかりかも知れないので、たとえば電車やバスの運転席越しに前が見える場所から、前方から流れてくる景色を焦点をあわせず眺める状況にまず慣れておこう。
視線は動かさず遠くを見ている状態を維持しつつ、その見えている視界の中に踏み切りだったり信号とか、他の交通の流れなどの動きを「注視せずに」認識できるよう徐々に馴らしていくのだ。
これはウインタースポーツのように、動きの速いスポーツでも役に立つ感覚なので、ぜひ身につけるようオススメしたい。
前方に見えている景色の中にあるいくつかのポイントに動きや特徴があるか、漠然と眺めながら認識していく訓練で、走りながら遠くを見る感覚が身についてくる