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このバイクに注目
HONDA
VFR400Z
1986~1987model

V4で唯一のネイキッドだったVFR400Z!【このバイクに注目】

RVF400ワークスマシンのレプリカVFR400Rからカウルを外した最強パフォーマンス・ネイキッド!

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ホンダは1986年、V4エンジンの第3世代となるVFR400Rをリリースした。
そもそもは1982年3月にVF750 SABREとVF750 MAGNAの、直4系CB750/900系に対しラグジュアリー路線でスタートしたV型4気筒だったが、12月には続く翌年モデルの第2世代VF750F、そして新たに400cc版のVF400Fがデビュー、スーパースポーツの新しいカタチをアピールしようとV4エンジンを露出させミニカウルを装備したスタイルだった。

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しかしホンダファンをはじめ、人々は直4エンジンが脈々と歩んだ実績のほうを意識していて、乗るとスムースで整然としたV型4気筒に食指が動きにくい状態だった。
しかしVバンク間へストレート吸気する効率の良さ、エンジン幅が2気筒分しかないリーンなど運動性で遥かに優位なメリットで、ホンダはレース活動による開発でその圧倒的なポテンシャルを次々と開花させていった。
400cc版も全日本F3レースへRVFワークスマシンを投入、圧倒的にパワフルで切り刻むように俊敏なコーナリングを見せつけたのだ。
まさにそのレプリカとして、VFR400Rが投入されたのだ!

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V4エンジンは、レースで得たノウハウからトラクションのレスポンスが良かった180°クランクに変更、また動弁系はロッカーアームをピロボール支持のエンドアジャスト式として慣性質量の低減と吸入ポートをストレート化に貢献、そして最大のインパクトはカムギヤトレインとしたことだろう。
カムギヤもV4となると直4と違い2組みの駆動メカニズムを搭載しなければならない。そこでホンダは精密なバルブタイミングを刻むためのバックラッシュをゼロにする2枚の位相した歯で組んだ状態をカセットに収める方式を開発、この高度なメカニズムを量産化と整備性向上を一気に高めたのだ。

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55mm×42mmの399ccから59PS/12500rpmと4kgm/10000rpmと自主規制上限スペックだが、そのレスポンスと高回転時のダッシュ力、さらには旋回中のトラクションをグングン高めていくトルクの強さは600cc並み……直4は完全に突き放され後塵を浴びる嵌めに陥った。
これには180°クランク採用によって、左右のVツインでエキゾーストをまとめ、その後に1本へ集合させる複雑な取り回しとサブチャンバーを介する構成と、2ストロークのチャンバー開発並みに試行錯誤を繰り返した成果が大きく寄与していた。

フレームもRVFワークスマシン譲りのアルミツインチューブ。メインは28×60mmの内側にリブが入った目の字断面、VF400Fのパイプフレームと比べると捩り剛性で2倍、横剛性で4倍という大幅な剛性アップで、しかも4kgもの軽量化を果たしている。

ジェントルで洗練されたV4のイメージを完璧に覆し、全回転域で4気筒最強を誰もが認めたパワフルマシン!

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このRVFワークスマシン直系のNewV4のパフォーマンスは目覚ましく、750cc版で後にVFR750R(RC30)デビューでもおわかりのように、まさしくV4は「無敵」を誇る時代へ突入した。
Force V4のキャッチは、全世界がそのレース結果に認めざるを得ない状況を誇った自身に漲った言葉だ。

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この勢いに乗ったままVFR400Rは、スイングアームを片支持のプロアームとするモデルチェンジへと歩みを進めたが、ネイキッドのVFR400Zは足回りを変更せずエンジンのみ改良型をマウント、オイルクーラーを省いていたのも受け継ぎながらさらにトルキーで最強400の座を確かなモノとしていた。

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VFR400Rはその後1988年にNC30と呼ばれる頂点へと昇華、1994年にはRVFと幕引きに相応しいほぼレーシングマシン仕様の公道版に進化、ひたすら性能を追求する勢いは誰にも止められなかった。
ただこうした400レプリカの強烈なイメージが、ネイキッド版の存在を目立たなくしていたのは間違いなく、熱いファンを育みつつ僅か2シーズンでVFR400Zはその姿を消すこととなった。