チャレンジに躊躇せず一気に高い完成度まで開発するホンダの真骨頂が発揮され伝説のCBXを初めて名乗った人気の400!


1981年の終わりに近い11月、ホンダは伝統の車名CBに「X」を加え、まさにありったけの新メカを注ぎ込んだ闘うためのCBX400Fをリリースした。
そもそもこの400ccクラスで4気筒の先駆者は、日本メーカー初のカフェレーサースタイルで、4into1の集合マフラーを採用するなど個性の塊りだった1974年の名車DREAM CB400FOUR。
しかし以来、ホンダは400では2気筒モデルのみ。
そこへカワサキから1979年に4気筒のZ400FX、ヤマハからも4気筒のXJ400が1980年にデビュー。
続いてスズキも1981年にGSX400Fを投入するなど、4気筒といえばホンダのイメージだった牙城は消え去っていた。

この屈辱を挽回するため、車名CBX400Fの「X」には、いわばこの間の復讐劇を象徴する「怒り」にも似た情念が込められていた。
ライバル4気筒すべてを超える新メカニズムと圧倒的なパフォーマンスを達成するため、あらんかぎりの革新的な構成づくめで開発をスタート。
まずNewエンジンは、55×42mmの399ccから48PS/1,1000rpmと3.4kgm/9,000rpmと、12,500rpmあたりまでの超高回転域を許容する仕様で、0-400mを13.5sec、車重173kgのいかにも軽快で鋭いハンドリングに仕上げていた。
その合理化の一端がDOHC16バルブを各々カムで直押しせず、小さなロッカーアームを介して押す方式で整備性も向上、フリクションロス(摺動や回転の運動に伴う抵抗)にオイルの撹拌まで含み、オイルパンをコンパクト化しつつ容量不足とならないようオイルクーラーも回路の小さなオイルタンクとして活用、それは15%の減少でCBX400Fでいえば11,000rpmが従来の9,000rpmと同程度の差になる。


そして驚くべきはクランクシャフトからの1次減速で、4気筒のエンジン幅を狭めるため、これまでクランクウェブにギヤを刻む方式は存在していたが、これだと設定できるギヤ径に減速比の制限からエンジン前後長のコンパクト化が進まない。
そこでCBX400Fはフリクション低減を兼ねてハイボチェーン駆動としたのだ。
これは1軸のカウンターシャフトを介さず、直接クラッチ/ミッションのカウンターシャフトを駆動するため、エンジンは通常のクランク前方回転ではなく、後方へ向かって回転するいわゆる逆回転方式となる。
MotoGPマシンなどで、ウイリーを押えたりエンブレでスイングアームを沈める反トルクが期待できる超レーシーな仕様と同じで、当時はエンジンから駆動が伝わる際に後輪がグリップをジワッと高めるトラクション効果も含めての採用だった。
排気系はエキゾーストパイプが1番と4番、2番と3番とをそれぞれ連結するため「X」クロスした取り回しで、新しい個性のアピールとして成功を収めた部分でもある。
ブレーキシステムも大改革でインボードタイプを採用。
鋳鉄ディスクが効きでは理想的な特性をもっていても簡単に錆で赤くなるため嫌われ、日本車では摩擦係数が硬いステンレス製を使わざるを得なかった。
これをドラムのようなハブの中に鋳鉄ディスクを収めるインボードタイプとする画期的な構成を採用したのだ。
この鋳鉄ローターはベンチレーテッドと呼ばれる、冷却通路がくり抜かれたそれまでクルマのスポーツカー専用の高度な仕様という超豪華な装備。
さらにブレーキ時のブレーキトルク反力を利用して、フロントフォークの沈み込みを制御するアンチダイブ機構を採用していた。
リヤサスペンションには、一般走行時にはソフトに、コーナーリ ングなど大きな負荷がかかった時などにはハードに、クッション特性で2次曲線的にバネレートが変化する、プログレッシブ・リンケージ・サスペンション(プロリンク)を採用。
また量販車では世界初の剛性の高い軽量中空アルミキャスト製スイングアームを採用していた。
さらにフロントとリヤに当時は最先端だったエア圧を補填できるサスペンションも装備。当時ではレーシングマシン専用に思われていた仕様が奢られ、その勢いを感じさせていたのだ。





果たしてホンダが意図した逆転劇は見事に大成功を収め、このCBXが大ヒットした後にそれほどの時を経ることなく、4気筒の回転域でバルブタイミングを可変としたREV搭載のCBRシリーズも投入されたが、CBX400Fはそうした新型車が登場しても人気が衰えず、1984年にカラーリングも一新して継続生産される異例な存在となった。

当時、4時間耐久レースなどモータースポーツ熱も高まっていたことから、若いライダーがこのCBXで数多く参入するなど裾野を拡げた貢献度もはかりしれない。
そしていまや絶版車の中でも異例なほど人気を誇っているのはご存じの通り。
そしていまや絶版車の中でも異例なほど人気を誇っているのはご存じの通り。
CBX神話はまだまだ語り継がれていくに違いない。




