エントリーライダーに正統派パワフルスポーツを伝えたRFVC放射バルブ単気筒!

1982年、jホンダはDOHC水冷Vツインというかつてない斬新で画期的な250スーパースポーツ、VT250Fを発表して一躍時代のリーダーへと躍り出た。
しかし1983年になると、空冷DOHC4バルブの単気筒スポーツをリリース、水冷やV型エンジンなど新しい兆しに馴染まない層へトラッドな路線で対応した。

XLX250R系をベースとしたシングルは、ボア×ストロークが72.0mm×1.3mmの249ccで高回転対応のツインカムDOHC4バルブのメカニズム。
その4バルブは燃焼室へ放射状に差し込まれる、カム駆動から90°方向転換したロッカーを介した特殊な配置で、球状の燃焼室へ理想の配列となるため瞬発力とピークパワー両面で高次元な、30PS/9,500rpmと2.4kgm/8,000rpmのパフォーマンスを得る。
キャブレターも吸気2ポートそれぞれに単体を装着する単気筒ながらツインキャブ。低速側で小径ベンチュリーとして片方が働き、スロットル開度が大きく高回転側へ移行すると両キャブが機能する高度な仕組み。
DOHCもふたつのカムシャフトはギヤ連結の精緻な構成で、外観では大きくアピールしていないが、中身は凝りに凝ったハイメカ仕様だった。


シャシーはセミダブルクレードルの本格派パイプフレームで、リヤサスにF.V.Q.という感圧ダンパーを備える。
そしてスポークを通常36~40本なのを24本(扁平断面)と極端に減らし、乾燥重量129kgの軽量に収めるなど走りに意を注いだ高いスポーツ性を標榜していた。
ただ車体色がレッドとホワイトのシンプルなグラフィックの2種類で、渋いブラック系を揃えなかったことから硬派なイメージが薄く、デビュー当時はそれほど注目されなかった。







以前も1980年にリリースしたシングルスポーツのCB250RSで、バイクを開発するエンジニア当人たちの年齢でも所有感と走りを楽しめるオトナ向けトラディショナルバイクが必要だという思いを具現化していたが、やや地味なデザインと渋いカラーリングでそこそこ人気ではあったが大ヒットまでに至らなかった反省で、今回は赤と白というカラーリングでより年齢層を拡げようとしたが、その思惑通りとはならなかった。

しかしその走りの良さから、趣味性の強い層からもっとトラディショナルなデザインであれば、むしろ幅広い層に受け容れられるという発想が生まれ、8カ月を経た年末にGB250クラブマンが発売されることに。
これはその意図通りに男女を問わず多くのユーザーから注目を浴び、カッコいいバイクとして人気モデルとなったのはご存じの通り。

クラブマンもトラディショナルといってもクラシカルな風貌を好む層に限界があり、イヤーモデルでは徐々に新しいカジュアルイメージにトラディショナルを重ねながら進化、パフォーマンスが褪せない素性の良さからロングランモデルとして1996年まで、何と13年間に及んだのだ。
これも優れたシングルエンジンあってのことで、エンジンのホンダを語る上で欠かせない傑作バイクのひとつであるのは間違いない。



