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ハングオンとハングオフ、どっちが正しいの?【ライドナレッジ023】

正しくは「ハングオフ」だが……

いまやスポーツライディングで“腰をイン側に落とすのは当たり前”になっているメジャーな「リーンイン」のフォーム。ちなみに日本が空前のバイクブームに沸いた80年代初頭、このフォームは『ハングオン』と呼ばれていた。世界GPにアメリカンライダーが台頭し、頂点クラスのWGP500で“キング”ケニー・ロバーツ選手と“ファスト”フレディ・スペンサー選手のチャンピオン争いは大いにライダーたちを沸かせ、大きく腰をズラして路面にヒザを擦りつけるコーナリングフォームは「ハングオン」と呼ばれ、とにかくマネしてヒザを突き出して走るライダーが後を絶たなかった。

当時のレーシングマシンはバンク角が浅くタイヤも限界が低かったため、身体をオフセットすることで車体をなるべく傾けないようにした……等、ハングオンする理由には珍説もあったが、理由はともかく派手なフォームとハングオンという言葉の響きをカッコ良く感じていた。
……ところが、いつしかハングオンは「ハングオフ」と呼ばれるようになっていた。ハングオンは和製英語で、欧米ではハングオフと呼ぶのが正しい……というのが理由だ。

しかし英語でもHang Onという言葉は存在し、“しがみつく、掴む”といった意味なので、あながち間違ってなくもないかも……。対するHang Offは“中吊り、ぶら下がる”の意味なので、そう聞くとやはりこちらの方が正しいように感じる。
とはいえ近年はハングオフという言葉もあまり耳にしない。腰をズラして身体をイン側に低く沈めるフォームは、ライテク記事ではリーンインと表現するケースが多くなったためかもしれない。それどころか、レースではいまや肘すりが珍しくないほど、腰ではなく上半身を極端に低く“落とす”フォームが定着、時代の変化を意識せずにはいられない。

いずれにしてもバイクに“しがみつく、ぶら下がる”のは、ライテク的におススメできないので悪しからず……。

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ロードレースで初めて腰をイン側にズラしたライダーといわれるのが、フィンランドのヤーノ・サーリネン選手(写真は1972年シーズン)。氷結したトラックを前後スパイクタイヤで70°以上も深くバンクしてスライド走行する北欧独特のアイスレースの出身。65年フィンランドチャンピオンになった後にロードレースに転向。1972年にWGP250チャンピオンに輝き、'73年にヤマハ初の500ccファクトリーライダーとなり優勝して幸先の良いスタートを切ったが、イタリアGPの250ccクラスで事故死。アイスレースは腰がバイクと氷結路面に挟まれた極端なリーンインで、注目されていたケニーロバーツよりさらに腰をズラすフォームに世界中が驚愕……が、当時はまだハングオフ(ハングオン)という呼び名は無かった

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やはりハングオン(ハングオフ)といえばケニー・ロバーツ選手! バイクブーム真っ只中の80年代、多くのライダーがケニーのフォームを真似て走った。カン違いして両膝を開いちゃっているライダーも少なくなかった

こんな「ハングオン」もあった!

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KYOSHO ハングオンレーサー

RC(ラジオコントロール)で有名なKYOSHOのRCバイクで、1992年に登場したロングセラー商品。乗車するライダーのフィギュアは13もの関節を持ち、コーナリングで車体が傾くと同時にヒョイッと腰をズラしてイン側のヒザを開いてハングオンのフォームを取る。ちなみに商品名は欧文で「HANGING ON RACER」と表記され、HANG ONと少々異なる