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ブラインドカーブを、リスクを避けゲーム感覚で楽しもう!【ライドナレッジ183】

Photos:
藤原 らんか,iStock kellyvandellen

イン→アウト→インで繋ぐのが状況対応ライディング!

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山の中のワインディングロードは、イン側を山肌や樹木で遮られる、先の見えないブラインドカーブ。
この見えていない先で、道がどう曲っているかによっては曲り切れないリスクを孕んでいる。
とはいえ、先に見えたカーブの入り口の状況で、大雑把に3種類のコーナーのどれかをイメージすることはできる。
何度も見立てるシュミレーションを繰り返し訓練すると、最初の曲がり角度を見れば見当がついたりする。
それが掴めてきたら、まず何速でどれくらいの速度が見合った条件なのかをリスクのないマージンたっぷりの速度で実際にアプローチしてみよう。

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次はカーブの中をどう走るかだ。
先が見通せないカーブを、はみ出さないよう走るには、センターラインや路肩との距離をはかりつつ、道幅の真ん中を走り続ければ良い……というのは理屈であっても、ご存じのようにそれはムリというもの。

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そこで活用できるのが、片側1車線でも道幅はカーブを走る安全マージンになるという事実。
もちろん道路の端は砂利や砂が多く、センターライン寄りは対向車もくるので、道幅いっぱいを使おうとするのはNG。
あくまでもバンク角は少なく左右に余裕を残して走る前提だが、この範囲でも充分に向き変えなどバイクを操る余地を見出せるのだ。
ただよく言われるアウト→イン→アウトは、サーキットのように先がわかっている状況では使えても、曲がり方が変わるかも知れない一般公道のワンディングでは、ただ余裕を使い切ってしまうリスクが大きいのと、途中で方向を変える区間を持てない弱みもある。
そこでバイクはカーブへ進入するとき、イン側をかすめてカーブの中へ進入してゆき、ややアウト側へ近くなってから曲がりはじめるイン→アウト→インという走り方のほうが、見えなかった先がさらに曲がっていたとしても対応しやすく、安全マージンもあって使える走り方といえる。

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そこでバイクはカーブへ進入するとき、イン側をかすめてカーブの中へ進入してゆき、ややアウト側へ近くなってから曲がりはじめるイン→アウト→インという走り方のほうが、見えなかった先がさらに曲がっていたとしても対応しやすく、安全マージンもあって俄然優位な走り方といえる。
もちろんイン側に寄るとき、対向車が来ないかの確認は何より大事。
極端にセンターラインに近づくのはナシにして、旋回より直進に近いラインをなぞると少しイン側に近くなる……程度にしておくのがお奨めだ。

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ただこうした走り方で必要なのが、奥でいちばん強く曲がりはじめるときの明確な進路変更。
だらだらとリーンをはじめるのではなく、向かおうとする先へ進路を向ける、いわゆる向き変えを伴ったリーンであるのが前提だ。
イラストにあるように、フロントブレーキを車体を傾けたときにかけると、車体を起そうとする反力が生じる特性を逆利用するのだ。
つまりリーンする前にライダーが曲がろうとする側へ予め体幹移動で重心をイン側へあずけ、同時に軽くブレーキングすることで車体が傾くのを抑えておき、ここぞという曲がりたい地点でブレーキをリリースすると、スイッチを入れたかのようにカクッと「くの字」をつくって曲がりはじめる。
このリーンで軌跡が「くの字」を描くような鋭い曲がり方は、コツさえ掴めばそれほど難しくはない。
慣れるまで最初はちょっとハンドルをこじっても「くの字」をつくりながら曲がるようにすれば良い。
このコツを掴めば、どんな複合カーブでも対応できるので、ぜひ身につけておこう。
常に向き変えポイントを早めに決め、そこへ向かって進みながら、また先を見てさらに向き変えが必要かを見定める先読みに集中する、これをゲーム感覚で楽しめるようになれたらサイコーだ。

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遠くを焦点定めずに見られる訓練できるとさらに応用できる!

こうした先読みをしていく乗り方で、実は意外に大事なのが視線。
まず慣れないとライダーはバイクのすぐ前の路面を見がち。
しかしこれでは先のカーブの様子など、見得ていても様子を掴むことすらできなくなる。
そこで先ず視線を遠くへ向けることから訓練をはじめ、以下の順序を踏んでコーナーへ近づくようにしていくのだ。

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人間の目は警戒する気持ちが強いほど1点を凝視するもの。
そのため走っているとき、少し遠くを見ていても、焦点を合わせた場所が近づくにつれ視線もそのまま手前に来てしまう。
この焦点が目の前まできたら、遠くを見つめる次の焦点を探す……これを繰り返しておると、実は見えていないブラックアウトの区間を生じるなど判断を誤るリスクとなる。
これを解決するには、映画の大きなスクリーンを見るように、全体を把握して1点を見つめない訓練をすること。
もちろんボンヤリ眺めていたのでは、危険察知もできないので、視界の中にある大事なファクターに気づく、つまり手前の焦点を合わせなくても状態を認識できる余裕を維持しつつ、視線が上から下へ変化しないよう、固定した状態で先を見るクセをつけていくのだ。
最初は集中できずに戸惑うかもしれないが、慣れてくると視線が小刻みに変わらないため、目の疲れが減る効果も含め、快適さを伴って身につきやすくなってくるもの。
最初に言った余裕のあるペースで走るのが大前提ではあるものの、全体が把握できてくると精神的にもストレスが減り、向き変えポイントの決め方など、ゲーム感覚で楽しめるようになるはず。
ぜひ徐々にで良いのでこんな走り方を試されるようお奨めしておきたい。