yamaha_fz8-n_fz8-s_20240527_main.jpg
このバイクに注目
YAMAHA
FZ8-N FZ8-S
2010~2016model

FZ8-N/Sの800ccジャストサイズ感ならではのフォルム!【このバイクに注目】

FZ1をベースにボア縮小でトルキーな扱いやすさを得て人気のネイキッドに!

yamaha_fz8-n_fz8-s_20240527_01

ヨーロッパやアメリカでは、600cc〜800ccのミドルクラスにスポーツバイクの需要が多い。トップエンドの1,000ccクラスのSS(スーパースポーツ)ではツーリングに too much、そこそこ長距離に向いていてタンデムできる余裕というと、このミドルクラスがいちばんだからだ。
ただこのミドルクラス、以前は600cc〜650ccが主流だったのが、750cc〜800ccと排気量がやや大きめのモデルが増える傾向にある。
2010年からのヤマハFZ8も、ナナハンを超える779ccの中途半端な排気量でリリースされた。

yamaha_fz8-n_fz8-s_20240527_02
yamaha_fz8-n_fz8-s_20240527_03

ヤマハのミドルクラスには、2003年から599ccのR6エンジンをベースに開発したFZ6系があり人気モデルのひとつ。FZ8はこの上級モデルというのではなく、同じミドルクラスとしての位置づけなのだ。
そもそもヤマハには1,000ccのR1ベースのネイキッド、FZS1000 FAZERが2001年にリリースされ、その後継モデルとして2006年から上の写真にあるFZ1系(ハーフカウル装着モデルはFZ1 FAZER、もしくはFZ-1Sの車名)が存在した。
しかしネイキッドやハーフカウルのスポーツツーリング需要の実態は、1,000ccの排気量ではないと判断。「Best active middle sports」をキーワードに排気量枠の概念を捨て実用域とスポーツ性を高次元にバランスさせた開発を目指すこととなった。

yamaha_fz8-n_fz8-s_20240527_04
yamaha_fz8-n_fz8-s_20240527_05

エンジンはハイパーの頂点R1がベース。しかしSSベースのメリットを軽量とコンパクトな面として受け継ぐだけで、エンジン特性の基本からまったくの別路線とする仕様へと新たに設計されている。
まずボアを9mm縮小、バルブ数を5→4とバルブタイミングも含め中速域を最優先し、53.6mmとストロークは変えずに779ccという排気量に辿りついた。

yamaha_fz8-n_fz8-s_20240527_06_01

新たな設計はクランクシャフトにも及び、ボア・ストローク比1.268とした動的バランスを、よりトルクの力強さが加わる慣性マスとしたのだ。
吸気側26mm径×2本、排気側22mm径×2本の4バルブのシリンダーヘッドも専用設計。ペントルーフ型燃焼室はバルブの挟み角26度、アルミ鍛造ピストンと組み合わされた圧縮比は12.0:1。最大出力は78.1kW(106.2PS)/10,000rpmで、最大トルクが82Nm(8.4kgm)8,000rpmのパフォーマンス。
乾燥重量は215kg、ホイールベース1,460mmで、ワインディングでの評価も上々の狙い通りの仕上がりとなった。

yamaha_fz8-n_fz8-s_20240527_07

ヨーロッパ向けのFAZER8(FZ8-S)がFZ6と共にニーズの多いミドルクラス中核に!

yamaha_fz8-n_fz8-s_20240527_08

FZ8もハーフカウル装着のFZ8-S、仕向け地によってFAZER8と呼ばれ、タンデムやより長距離を目指すライダーに、600ccクラスに扱いやすく走りの醍醐味も楽しめる新たなミドルクラスとして注目を集めた。

yamaha_fz8-n_fz8-s_20240527_09
yamaha_fz8-n_fz8-s_20240527_10

カラーリングも翌年にはトレンドを採り入れた3色が用意され、ミドルクラスの中核的な存在までシェアを占めるまでの展開をみせている。
それは2012年モデルで、ヤマハの世界GP50周年の記念ペイントが施されたことからも、ヤマハを代表するヒット作だったのを伺わせる。

yamaha_fz8-n_fz8-s_20240527_11

このスポーツツーリングとしてのポテンシャルを高める傾向に、750cc〜800ccがスポーツバイクの主流となっていく流れができて、現在までそれが続いているのは輸出モデルをみれば明らかだろう。

yamaha_fz8-n_fz8-s_20240527_12

日本国内ではそこまでツーリングやタンデムのニーズがないことから、こうした進化のプロセスやメリットが伝わりにくいが、マーケットのニーズによる競争に鍛え上げられたバイクのスペックやデザインなど、楽しめる排気量や大きさに目を向ける意味は少なからずあるに違いない。