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このバイクに注目
KAWASAKI
BALIUS-II
1997~2007model

2本サスに変えたBALIUS-IIは250ネイキッドで硬派を貫いた!【このバイクに注目】

Photos:
KAWASAKI

他の250ネイキッドがニュアンスを込めた次世代チャレンジする中、ひたすらオートバイらしさの追求でライダーの心を捉えたカワサキ!

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1989年のZEPHYR(ゼファー)をきっかけに、レーサーレプリカのブームは終焉を告げ、カウルのないフォイルムをネイキッドと呼ぶカテゴリーが誕生、瞬く間に中心的存在となった。
続いて1991年に、250ccクラスでも各メーカーからネイキッドが集中して登場、凌ぎを削るかにみえたが、250ccの幅広いニーズにホンダはJADEとCBの称号をつけず、ヤマハもZEAL、スズキはBANDITと性能を優先しないソフトなアピールで、キャラクターを直感しにくい展開から渾沌とした様相を呈していた。
そんな中、ひとり抜き出たのが1991年デビューのカワサキのBALIUS(バリオス)。
レプリカブームでは出遅れた1989年のZXR250Rのエンジンを、ダブルクレードルの鋼管フレームへマウントした超々高回転ネイキッドだった。

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45PS/15,000rpmと自主規制値上限のパワーはそのまま、レッドゾーンは何と19,000rpmからで低中速のレスポンスを良くするチューンもあって、街中で18,000rpmまで引っ張るライダーもいて、ZXR250Rより速いと言われるほど。
ZEPHYRは性能なんて二の次、続く他社の250ネイキッドもライフスタイルを謳う刺激を求めないキャラクターを狙っていたのに、カワサキBALIUSだけは「やんちゃ」ができるパフォーマンスで、250ccだとビギナーでも試せる範疇というのも手伝って瞬く間に硬派イメージが定着した。
さらにカワサキは1997年に、ライバルが驚くリヤサスをそれまでのモノサスから2本のショックユニットに換装、コンサバティブないかにもオートバイ然とした仕様へモデルチェンジ、BALIUS-IIとしてリリースされた。
そのモデルチェンジ初年度には、赤と緑のツートンを燃料タンク左右で塗り分け、テールカウルでは左右が逆の組み合わせという前代未聞のグラフィックを発表、カワサキじゃなきゃやらないよネ、とファンに言わせるよう仕向ける余裕をみせた。

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そもそもBALIUSはZEPHYRと違って空冷ではなく水冷。
ZXR250Rではカウルの下にノッペリとしたシリンダーだったのを、サイドカムチェーン側も含め冷却フィンを左右に刻み、大容量ラジエーターには大柄な導風シェルを目立たせるデザインとしていた。
そして肝心の車体デザインを、従来の概念を打ち破る斬新なライフスタイルへ模索とは無縁の、現実的なボリューム感とスポーツ性をアピールするルックスとしたのだ。
これがライバルたちとの大きな差となり、圧倒的な支持の違いを生んだのだろう。オートバイライダーは基本的に硬派なのだ。

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この独り勝ち状態に、何とスズキがBANDIT 250 に替えてこのBALIUSをOEM生産依頼するという、スクーターならまだしもスポーツバイクでは稀な状況が生じたのだ。
車名はGSX250FX、2002年から2004年まで続いた。

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BALIUS-IIが優れていたのは、モノサスをやめスポーティなリザボアタンク付きの2本ショックとしたのは単に見た目狙いだけではなく、モノサスが占拠していたシート下の部分をユーテリティ・スペースとする実用性への配慮も伴っていた。
そして最も大きな違いはライディングポジション。
ステップ位置がやや前進してハンドル位置も変わって、よりアップライトなライポジへと変更されたのだ。
またホイールベース(前後輪の軸間距離)も若干長くなり、安定感の向上も得ている。
エンジンはスロットルポジションセンサーで、点火時期を細かく対応できる仕様としたことでよりレスポンスがナチュラルで扱いやすく、サイレンサーも大型化、2004年モデルからエンジン外観もダーク塗装されるなどメジャー機種としての位置づけの安定化をはかっている。
そのBALIUSも相次ぐ排気ガス規制の強化もあって2007年に生産を終了。
足かけ16年のロングセラーだった。
やはりカワサキの直球勝負は強い、ライバルメーカーにそう思わせた独自路線の重みを印象づけたモデルのひとつなのは間違いない。