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チェーンって、ドコが伸びるんですか?【ライドメンテナンス006】

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渕本 智信

チェーンの張り調整が必要なのは、チェーンが徐々に伸びるからだけど……

バイクのチェーンのメンテナンスといえば「清掃・潤滑」と「張り(あそび)のチェック」。まず、チェーンを長持ちさせるには清掃や潤滑をマメに行うことが大切だ。

近年のビッグバイクのシールチェーンの高価なものは、持ちがよくなっているが、小中排気量車はまだまだマメなメンテナンスが必須。オフロードバイクで林道やガレ場、ウエット路面を走った後や、洗車後も同様だ。

そして張りが適切であることも大切。
張りすぎているとサスペンションがストロークせず動かなくなるため危険だし、遊びが多すぎるとガシャガシャ異音がしたり、加減速のショックが大きくなる。スプロケットも減っていたりすると、最悪の場合は走行中にスプロケットから外れてしまうこともある。何より張りが適切でないと、チェーンの伸びが早くなって、寿命が短くなってしまうのだ。

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清掃や潤滑などきちんとメンテナンスをしていても、チェーンは徐々に伸びていくので“張り調整”が必要になる。それでは、チェーンのドコが伸びるのだろう?

チェーンのドコが伸びている? じつはドコも伸びていない!?

……とはいえ、チェーンのドコが伸びているのだろう? なんとなくゴムのように全体的にヘタって伸びているイメージもあるが、いまどきのチェーンは非常に頑丈で、金属でできたプレート部分はよほどのトラブルが無い限り伸びたりしない。

じつはチェーンを構成しているパーツは、どこも伸びない。

しかし、チェーンの1コマ1コマを繋いでいるピンとブッシュが、ホンのわずかに摩耗していくことで、ピンとブッシュの隙間が目に見えないくらいずつ、徐々に広がっていく。するとその隙間が大きくなった分だけ、結果としてチェーン全体が長くなるワケだ。

ホンのわずかでも×100

中~大型バイクに多い“シールチェーン”は、このピンとブッシュの摩耗を抑えるためにグリスを封入しているので、本当にわずかにしか摩耗しない。とはいえ多くのスポーツバイクのチェーンは100リンク以上あるので、仮にピンとブッシュが摩耗して隙間が0.1mm広がったとすると、チェーン全体では1cm以上伸びるコトになる。

そしてチェーンが過剰に伸びると、スプロケットの歯とチェーンのピッチが合わなくなってしまう。これが“チェーンの寿命”だ。

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チェーンはプレートやローラー、ブッシュやピンなど数多くのパーツで組み立てられている。しかしどの部品も、距離を走ったからといって経年劣化などで伸びたりしない。じつはチェーンのコマとコマ(リンク)を繋ぐブッシュとピンがわずかに摩耗していくことで隙間が開き、結果としてチェーン全体が新品時より長くなっていく

チェーン交換の目安は?

清掃や潤滑をマメに行うことでチェーンの伸び(ピンとブッシュの摩耗)は抑えられるけれど、いつかは使用限度が来る。それなら、どれくらい伸びたら寿命なのか? 答えは「チェーン全長の約1%」。中~大型のロードスポーツ車のチェーンの長さは1.6~1.8mくらいなので、16~18mm伸びたら寿命だ。
……とはいえ、チェーンを外して長さを計るわけにもいかない(中~大型のロードスポーツ車の多くは“カシメ”でチェーンを繋いでいるので基本的に外せない)。そこで目安になるのが、スイングアーム後端の“チェーン引き”の目盛り。まずはチェーンが新品の時の目盛りの位置を記録しておき、そこから(適正な張り調整を行った状態で)8~9mm引いた状態になったら使用限度と考えれば良いだろう。また、短期間で何度も調整しないといけないような状態も交換時期と考えたい。

ちなみに近年の有名チェーンメーカーのハイグレードな製品はとても寿命が長く(新品装着時の“初期伸び”以降は、驚くほど伸びない)、きちんとメンテナンスしていれば走行1万キロ以上でも問題なく使えるモノが少なくない。

反対に標準装備のチェーンは、バイクメーカーや車種によってかなりグレードに幅があり、比較的短期間で伸びてしまったりサビてしまうモノもあるのでマメにチェックした方が良い。

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チェーンが過剰に伸びると、スプロケットの歯とチェーンのピッチがズレてしまうため、異音や加減速のショックが大きくなり、スプロケットの摩耗も早まる。こうなるとチェーンの張り調整をしても異音やショックは収まらない。またチェーン交換時には、スプロケット(エンジン側のドライブスプロケット、後輪側のドリブンスプロケットともに)も同時に交換するのがオススメだ

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チェーンは全長の1%伸びたら使用限界。とはいえ実際に長さを計るのは困難なので、チェーン引きの目盛りを目安にするのがオススメ。適正な張り調整をしたうえで、チェーンが新品の状態の目盛りの位置から8~9mm引いた状態になったら使用限度だ。新車時、およびチェーン交換時の目盛りの位置を記録しておこう