タイヤの表面が荒れてしまいます。なぜだろう?
ハイグリップタイヤをサーキットなどで使用すると(DIABLO SUPER CORSAやROSSO CORSA IIなど)タイヤの表面が溶けてザラザラになったり、ザクザクにけばだってしまったりと、トレッドのショルダーが異常に摩耗することがある。
なんかカッコいいと思う方もいるようだが、これは不自然な状態。このような状態を「アブレーション」と言うのだ。
アブレーションとは?
アブレーションはタイヤが本来の性能を発揮できない状態のときに起こる。
主に、サーキット走行などのタイヤへの荷重(=つぶれ具合)が適正でない時にタイヤ本来の性能を発揮できずにタイヤはストレスを感じ、アブレーションというカタチで現れる。
トラクション(地面に押し付ける力)が適正だと、タイヤは理想的に変形し、「メカニカルグリップ」が最大化。メカニカルグリップというのは、簡単に言えば「路面を掴むチカラ」のこと。これに対して「ケミカルグリップ」というのは「コンパウンドの作用によって(温度依存がありますが)路面との摩擦力を高めるチカラ」のことだ。
タイヤが適正な変形をしないとメカニカルグリップがうまく使えないだけでなく、コンパウンドにもダメージを与えてしまう。無論、ケミカルグリップもうまく使えなくなる。この結果、「アブレーション」が発生するのだ。
アブレーションの発生原因
具体的には以下の場合で発生する。
- 空気圧が高すぎる場合
- 空気圧が低すぎる場合
- 路面温度が高すぎる場合
- タイヤのウォームアップが十分でない場合
他にも
- サスペンションセッティングが適正でない場合
- 車体のジオメトリに問題がある場合
などが挙げられる。
アブレーションを防ぐには
タイヤのウォームアップ(サーキットではタイヤウォーマーの使用を推奨)を十分に行い、温感空気圧を適正に調整。タイヤ内部の温度とタイヤ表面温度に大きく差が出ないように、タイヤを良く運動させることも大切だ。
タイヤのウォームアップが十分でない時にスロットルをラフに開けてしまうとタイヤの表面が荒れてしまう。
DIABLO ROSSO CORSA IIなどはサイドのコンパウンドはDIABLO SUPERCORSAのSC2コンパウンドのため、アブレーションが起こることがあるのだ。
時には割れたようになることも
また、車体の基本的な整備も大事なポイントだ。サスペンションのスムーズな可動とリンクやピポッド部のグリスアップ、チェーンメンテナンスなどを行うことを意識しよう。
まとめ
アブレーションはタイヤからのSOSのサイン。
決して軽視せずに車体、乗り方、空気圧をチェックしよう。アブレーションはタイヤが傷だらけになってあなたを守ってくれた証だ。そしてタイヤに感謝して、新しいタイヤを買うことをおすすめする。
ベテランライダーほど「ハイグリップが偉い」と思ってしまう傾向があるが、サーキット以外を走る方には、例え峠道オンリーだとしてもDIABLO ROSSO IIIやANGEL GT IIのほうが安全で楽しく走れるのでおすすめだ。
最新タイヤの驚きの進化を体験してみてはいかがだろう。
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