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ブレーキパーツクリーナーの正しい使い方。使用NG部分も知っておこう【ライドメンテナンス003】

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渕本 智信,長谷川 徹

よく落ちて楽しいから、ついついかけすぎて……

わずかに滲んだオイルに埃や泥がこびり付いたエンジン周りや、チェーンのグリスが飛び散ったスイングアームなど、水洗車やシャンプー剤ではなかなか落ちない“油系の汚れ”。そんな頑固な汚れを一発で落としてくれる便利なケミカルが「ブレーキパーツクリーナー」だ。

バイク専用品だけでなく、機械全般向けの汎用品など、最近はホームセンターやスーパーで安価で販売されている製品もあるから、すでに使用しているライダーも多いだろう。

そんな汚れ落としの強い味方のブレーキパーツクリーナーだが、じつは使う場所には注意が必要。基本的には塗装していない金属パーツ(ディスクローターやメッキのマフラーなど)や、取り外した金属製のボルトやナットを除いては、使わない方が無難なのだ。

たとえばホイール(主にアルミ製だが塗装されている)の汚れや、チェーングリスが飛んで付着したテールカウル(主にプラスチック樹脂製)の裏側なども使わない方が良い。燃料タンクやカウルのスクリーンなども同様だ。

その理由はブレーキパーツクリーナーの主成分が「石油系溶剤」だから。よくプラスチック系の家庭用品や家電製品などの取り扱い説明書の注意書きに「ベンジンやシンナーなどで拭かないでください」と書いてあるが、それと同じ。塗装部分や樹脂部分にパーツクリーナーを吹きかけると、ともすれば表面が溶けてしまうこともある。これ、やってしまってからでは取り返しがつかない。最近は塗装や樹脂に対する攻撃製の少ない製品も増えているが、それでも使わない方が安全だ。

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パーツクリーナーの注意書きを読んでみよう。溶剤が入っているため、塗装面、樹脂やゴム部分にもかけない方がよい

各部に直噴せず、ウエスに拭きつけてから拭き取りたい

その意味では、ディスクローター等の金属部分を清掃する際も、プシューッと直接吹き付けると、周囲のフェンダーやホイールにも付着してしまうので要注意。まずはウエスなどに吹き付け、そのウエスで清掃したいパーツを拭うのが安心だ。

使用厳禁部分に使わないこと

それからチェーンに使用するのはNG。チェーンのシールを攻撃するため、封入されているグリスが流れ出てしまう危険があるからだ。チェーンの清掃には必ず専用クリーナーを使い、清掃後はチェーン専用のグリスを塗布しておこう。

他にもリヤサスペンションのロッド部分やフロントフォークのインナーチューブ、ホイールのアクスル軸付近や、エンジンのシフトチェンジシャフト部などの“油汚れ”が目立つ場所は、基本的に使用禁止。

簡単に油汚れが落とせるパーツクリーナーだけに、率先して使いたくなる場所ばかりだが、これらの箇所には大抵ゴム製のオイルシールが入っているからだ。もしパーツクリーナーでシールを傷めてしまったら、ますますオイル漏れが激しくなって、本格的な修理が必要になる可能性も大きい。さらにグリス切れでカラカラになってしまっては本末転倒だ。これらの場所の油汚れは、少々面倒でも中性洗剤やシャンプー系の洗浄剤で洗い流すのが得策だ。

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サスペンションのダストシールやオイルシール部分、ベアリングのシール部分などにも直接吹きかけないようにしたい

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ステップのピロボール部分やレバーの付け根はホコリが溜まりやすい部分だが、脱脂してはいけない部分。ピロボールが固着するとギヤチェンジができなくなる。こういった部分は、バラしてからパーツクリーナーで清掃、その後グリスアップして組み付けよう

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チェーンのシール部分はゴムなので、パーツクリーナーは使用禁止。専用のクリーナーを使用して、その後専用のオイルを注そう

協力/ 森 製作所(Jトリップ)