2006年のMotoGP第8戦オランダのアッセンでバレンティーノ・ロッシを救ったプロテクター【DAINESE Topics.009】

良くも悪くも忘れられないレースがある。
バレンティーノ・ロッシにとっては、2006年のオランダ・アッセンGPもそのひとつだ。結果としては、その年のシーズン終盤にチャンピオンに輝いたニッキー・ヘイデンに20秒以上の差をつけられてのフィニッシュだった。

しかし、このトップ10に入ったことは、ドクターにとって奇跡のような結果だったのだ。

その理由を理解するには、土曜日の決勝レースから数日前の木曜日のフリー走行にさかのぼる必要がある。

ロッシは、最終シケインに入る高速左コーナーのRamshoekコーナーで、ヤマハの46番イエロー・ヤマハをコントロールできなくなってしまった。
マシンはアスファルトの上を滑って、次にグラベルを横切り、バレンティーノ・ロッシは何度も何度も転がり停止。
ライダーは無事だったが、決して軽い事故ではなかった。

診断書には、右手首の骨に2カ所の微小骨折、足首の損傷と胸部の打撲が記載されていた。しかし、バレンティーノは大事に至らなかった事に感謝した。
そして、何より感謝すべきは、ダイネーゼの“Waveバックプロテクター”だった。

アルマジロのうろこ状の硬い板からインスピレーションを得た“Wave”は、ポリプロピレン製の波状の外殻とハニカム構造のアルミニウム製中間層で構成されており、軽量で優れた衝撃吸収性を備えている。

この週末は、バレンティーノ・ロッシにとって厳しい状況が続いた。
最後の最後までレースへの出場を危ぶまれていたが、ドクター・コスタとクリニカ・モービルが起こした新たな奇跡のおかげで、ついにスタートラインに立つことができたのだ。

バレンティーノは最後尾からのスタートとなったが、数ラップで自信をつけた後、驚異的な回復を見せ、最終的には8位でチェッカーを受けるという素晴らしい結果を残した。

翌週の週末、モバイルクリニックの医師から持ち帰ったバックプロテクターを初めて目にしたバレンティーノは、そのバックプロテクターにキスをして、デザインした人たちに感謝したというエピソードがある。
そのプロテクターは、ライダーの脊椎の正確な形状を再現し、まるでメモリーフォームのように、衝撃を受けた時の形状を保っていた。

レーシングスーツ、ヘルメット、そのほかすべての装備も完璧に機能していた。

足首の痛みはあったものの、重症に至らなかったのは、ダイネーゼのねじれを防止するアクシャル構造と、カーボンとアラミド繊維の内部構造、レーシングスーツの中に挿入できるブーツインシステムのおかげで、従来よりも安全でコンパクトになった。

ダイネーゼのアパレルは単なるプロテクションウェアではなく、バレンティーノ・ロッシをはじめとする歴代の偉大なプロライダーたちと一緒に開発された総合的なプロテクションシステムなのだ。

ヘルメット、レーシングスーツ、バックプロテクター、ブーツ、グローブは、それぞれが独自のソリューションと相乗効果を発揮するように設計されており、個々のパーツの合計以上のプロテクションレベルを提供している。