A.サーキットではほぼ見ていません!
初めて走ったサーキットは楽しかったのですが
走行中にメーターを見る余裕なしでした。
何回転くらいで走っているのか、
どれくらいスピードが出ているのか……
上手なライダーはどう見ているのでしょうか?
また、MotoGPライダーは、シフトアップの
タイミングをメーターで決めているのですか?
速度ではなく、エンジン回転数が大事
確かに初めてのサーキットとなると、すべてに慣れていない緊張感で、メーターなど見る余裕がなくなっていると思います。それと慣れているライダーは速度が何㎞/h出ているかは、ほぼ見ていません。たまにこんなに出ている、意外に出てないなどと、興味本位でチラッと確認している程度です。
なぜなら、このコーナーは何速のギヤで何回転、あのコーナーは何速で何回転という具合に、速度ではなく選ぶギヤとエンジン回転数のほうが重要だからです。
それとサーキットには大小様々なコーナーがあって、必ずしも6速あるギヤがすべてマッチするとも限りません。そんなとき、エンジン回転数が高過ぎたりすると、後輪が空転してスライドしたり、悪くするとスリップダウンするので、エンジン回転数の管理にもっとも気を遣います。
基本はコーナリングでは中速域を多用して、ピークの高回転域を使わないということ。ピーク域は直線などの加速ではもちろん最大のパフォーマンスを発揮しますが、コーナリング中はむしろ曲がるほうには作用してくれないことが多いからです。
という意味で、エンジン回転数を走行中に確認するのが重要になってきますが、だからといってコーナリング中にコーナーの先を見ずにタコメーターをずっとチェックしているワケにもいきませんよネ。
どうやって確認しているかといえば、排気音や振動で感じていて、ほぼタコメーターも見ていません。コーナーを立ち上がる出口に差しかかって、ようやく前方を見ながらタコメーターにもチラッと目をやる程度です。
スピードではなく回転数とギヤをチェック
サーキットで大事なのは、効率よくコーナリングをするために使っているギヤとエンジンの回転数を把握すること。そのためタコメーターのほうが重要。スピードメーターはコーナーを立ち上がり、その結果どの程度スピードが出ているのか確認する程度だ
トップレベルになるほど、感覚的に操作している
このコーナリングでは中速域を多用するという乗り方が、大型スポーツやMotoGPでは当たり前になっていることに注目してください。いつでもスロットルを開ければ最大加速が得られる高回転域を保っているのがパフォーマンスライディングのように思われがちです。しかし、バイクが深くバンクしている状態では、リッターバイクの高回転域のピークパワーをグリップできるタイヤなど存在しません。
スライドしながら派手に立ち上がっても、曲がれる側のグリップが食われてしまい、旋回力が不足して結局はラップタイムを稼げないのをトップライダーはその経験から熟知しています。
またストレートへ出てからのシフトアップでは、最高出力が引き出せるピーク域の回転に達するあたりで、タコメータを凝視しなくてもいいように、MotoGPマシンではLEDが青く点滅したり、シフトアップポイントを超えると赤く点灯するなど、瞬時に判断できるよう配慮されています。
なにせシフトアップはもちろんシフトダウンもクラッチレバーなど触らずにシフトレバーを操作するだけのシームレスミッションという特殊な構造のミッションで、ストレートのフル加速では1秒毎に矢継ぎ早のシフトアップをする忙しさなのです。
4速から5速、5速から6速までも同じ間隔でシフトアップという、そこは一般のバイクではあり得ない猛烈なパワーのダッシュが途切れなく続きます。
というワケで、頂点の領域になるほどメーターはチラッとしか見ずに、ほとんど感覚で操作しているということになります。