VersionRの不人気四角眼とカウルを丸ライトへ戻したVersionSがスタンダードを置き去りにする大ヒット!
1989年にネイキッドが多様なコンセプトで居並ぶなか、1990年にゼファーが独り勝ちをはじめそれにようやくストップをかけたのが1992年のCB400 SUPER FOUR。
以来2022年まで販売され惜しまれつつホンダのラインナップから姿を消したが、その間に様々なマイナーチェンジにフルモデルチェンジを挟んでの進化だった。
中でも初代のスポーツ性を高めた1996年からのバージョンSが、圧倒的な人気だったのはご存じの通り。
そ実はライバルたちがネイキッドブームの中にあって、少しでも差別化をはかろうとスポーツ性を高めたバリエーションを繰り出してきたのに対し、ホンダもSUPER FOURにバージョンRをリリース、追いすがるライバルを振り払おうとしたのだ。
1995年モデルをベースにエンジンをPGM-IG(電子制御点火装置)でスロットル開度にスロットルを開けた動きの加速度まで検知、あらゆる回転域でレスポンスとトルクを引き出す完成度の高いレベルまで引き上げた。
さらにフレームはダウンチューブにクロスパイプを加え、しなやかさと剛性のバランスを適正化、アルミサイレンサー別体式の集合管、そして特徴的な四角いヘッドライトのビキニカウルをマウントしていた。
ところがこのハロゲンバルブに6分割マルチリフレクターが、横長のスクエアな形状となったのが不人気となり、急遽その差別化した仕様はそのままに翌年丸いヘッドライトにしたバージョンSと交替したのだ。
このバージョンSはエンジンからフレームまですべてバージョンRを受け継ぎ、シートのテールカウルをスムーズな形状へと変更、さらにフロントブレーキに世界GPで圧倒的シェアを誇るイタリアのブレンボ製を奢るという大盤振る舞いまで加わった。
これで価格差は何と1万円……誰もスタンダードモデルを買わなかったのはいうまでもないだろう。
こうしてSUPER FOURの圧倒的な優位は保たれ、他メーカーから手が付けられないと諦めの言葉さえ漏れる状況が続いた。
限定バージョンはすべて人気、そしてHYPER VTECへとフルモデルチェンジ!
半ば独占状態を勝ち取ったバージョンSだったが、新たなユーザーや買い替え需要も見越して、イヤーモデルに限定バージョンをリリースする流れが定着してきた。
とりわけ50周年を記念した白に赤いストライプの限定500台モデルなど、内容も濃い仕様にスタンダードと同額のお買い得感も増して人気沸騰。
他にも限定のカラーリング違いも加わり、ベストセラーでメジャーなモデルだけにユーザーは他人と違う仕様を好み、この戦略はニーズ喚起に功を奏していた。
こうして大勢のユーザーを獲得したバージョンSだったが、排気ガス対応を含め1999年からはHYPER VTECを搭載したフルモデルチェンジで、熱い4シーズンの幕を閉じ、その座をバトンタッチをすることとなった。