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気温が10℃以下なら浅いバンク角で曲がれるメソッド!【ライドナレッジ170】

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Shutterstock(Erik Tanghe)

10℃を下回るとタイヤのグリップはガタ落ち、
浅いバンク角でも曲がれる乗り方って?

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間もなく本格的な防寒をして乗る季節。
タイヤの空気圧が気温で大幅に低くなる時期でもあるので、まず何より空気圧チェックをお忘れなく。
とくにフロントタイヤがエアボリューム小さいので、下がり過ぎてハンドルを取られる乗りにくさを生じる可能性も。

そしてツーリングでのライディング、とくにカーブが続くワインディングでの走り方も、この寒さを意識したメソッド、手順を工夫することで安全かつ余裕のある走りが楽しめる。

ということで、寒くなってからにキーワードは、タイヤのグリップが落ちるのを前提にした、バンク角に頼らず曲がるライディング。
タイヤのゴムは暖まると柔らかくなるが、硬いと路面の小さな凸凹に追従しにくくなるのはご存じの通り。

しかしカーブ差し掛ると、2輪で走る宿命として車体を傾けなければ曲がれない。
この傾けるバンク角が深いと、何かの拍子にタイヤがスリップする危険性があるわけだ。

バイクを起して上半身だけのリーンイン
一般公道だとタイムラグに陥りやすい

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では浅いバンク角で曲がりやすい乗り方とは、どのような手順を踏んだら良いのだろうか?

暖かくタイヤが柔軟な条件では、乱暴にいえばとにかくバイクを寝かせば曲がる。
このラフな操作で曲がれる状況には、寒くなるとそうはいかなくなる要素がふたつある。

ひとつは傾ける角度で曲がれる能力が左右される要素、そしてもうひとつはタイヤへの荷重、つまりタイヤを路面にしつけているチカラでも曲がれる能力は左右される。
寒くなるとリスクを避けるためにバンク角に頼らずはいうまでもないが、この後者のタイヤの荷重のほうは工夫ができる。

但しレースのように荷重をかけて乗る……などの難しいテクはさておき、一般公道で大事なのは荷重が抜けるほう、つまり減らさないよう工夫することはできる。
たとえばバイクをバンクさせまいと、リーンインで上半身を大きくイン側へズラすライダーが少なくない。

ただこの方法だと上半身が横へ移動している時間、タイヤから体重が抜けやすく、曲がりはじめるのもタイムラグを生じることになる。
これはタイミングによってはドキッとするリスクも生じやすいので、避けたほうが賢明といえるだろう。

腰をゲンコツふたつくらいシート座面でズラす、
その方法で外側ホールドとブレーキの前滑り防止が兼ねられる

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そこでお奨めなのが、腰をちょっとだけズラす下半身でのリーンイン。
もちろん膝擦りとかそういったパフォーマンスではない。

このちょっとズラした姿勢でリーンすると、上半身ズラしで起きやすい荷重抜けが出にくいメリットがある。
もちろん姿勢の移動で腰を浮かしたりすれば荷重が抜けるので、あくまでシートの上で腰を滑らす方法に徹する。

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その腰の移動で、カーブ手前の手順でアウト側になる足首・膝・太ももを使ってお尻を斜め後ろへ突き出すようにプッシュするのだ。

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こうすることで外側のいわばニーグリップができた状態となり、カーブ手前の減速で身体が前に滑ってしまう状況を抑えることもできる。

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もちろん、こうしたアクションをせず、リーンウイズのまま唯々速度を低く保って走れば確実に安全というロジックもあるだろう。
ただどんなに低速まで落としても、クルマのようにハンドルを切れば回避できるということにならないのがバイク。
自分で操って、自分とタイヤを介した路面との関係を、常に操作している状態にしておくのが、身を守る運転だろう。